利休七則
「茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き、花は野にあるように、夏は涼しく 冬は暖かに、刻限は早めに、降らずとも雨の用意 相客に心せよ」
利休七則（りきゅうしちそく）は千利休が定めた茶の心得について示しています。利休の弟子たちが利休に茶道の極意を尋ねた事で生まれた心得になります。
「南方録」では利休がわび茶の心得を尋ねられたところ「夏はいかにも涼しきように、冬はいかにも暖かくなるように、炭は湯の沸くように、茶は服の善きように、これにて秘事はすみ候（覚書）」と答えたという記述があり、この記述を基に利休七則と四規は江戸時代に大成しました。
弟子たちが「私共にもこの程度のことはできますよ」と答えたところ、利休は「もしこれができたならば私はあなたの弟子になりましょう」と答えたという逸話も残り語り継がれている利休七則について見ていきましょう。
利休七則 意味
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茶は服のよきように点て
- 「茶は心を込めて美味しくたてましょう」という意味です。
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炭は湯の沸くように置き
- 湯がしっかり沸くための炭のくわえ方があります。点前の順番を守ることに囚われてお湯を沸かすのに小さすぎる火になってしまっては意味がありません。柔軟に取り組むようにという意味が含まれています。
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花は野にあるように
- 「野にある花を切り取る」と誤解しがちなのですが、花は元もと野に咲いていた花だということを忘れず、花に与えられた美しさと命の尊さを大切にすることを伝えています。このように地球上の生命を人間がおし頂くことを意識化するための心得は、菓子を頂くときのように点前の動作の中にも含まれています。
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夏は涼しく冬は暖かに
- 季節感を尊び、どのように場を整えれば客人が快適でいられるかを常に心に留め置くことです。
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刻限は早めに
- つねに心持早目に準備や後始末をし始めることでゆったりとした時間を持つことができ、相手の時間を大切にできるということです。相手の時間を大切にすることで、相互が心を開いてコミュニケーションできる状態が生まれます。
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降らずとも雨の用意
- 心を柔らかく、どんなときにも適切に応じられる素直さを得ていきましょう、という意味です。
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相客に心せよ
- 同じ席に居合わせた人々にも心を配りお互いを尊重しあうことが大切だという意味を持ちます。
四規 意味
和敬清寂
茶人たちが茶を点てることに対して茶道としての自覚がまとまった江戸時代前期から始まったのではないかと言われています。茶道は仏教の禅宗と深くつながりがあるため、仏の教えを基盤とした心得が多い事も茶道の特徴となっています。角川茶道大辞典による和敬清寂の解説を参考に読み解きます。
和敬清寂
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和
- ただ単に仲良くするわけではなく亭主も客も個性を発揮し、それぞれ独立独歩の存在であるという意味に加え、あらゆるひとに共通の「仏性」という精神的な基盤に帰一して、「相互に二にして二にならず」という「不二一如」の一座を建立することが説かれます。
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敬
- 主従・上下関係の秩序ばかりのかつての封建的な道徳ではなく、主も客もみな仏性を持つ尊厳ある人格であることを互いに認め合い、他の仏性に対して手を合わせあうことと説かれています。
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清
- 感覚的に無垢・清浄であるだけではなく、それ以上に心を清め、「円虚清浄の一心」から自由に働くことであるということです。
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寂
- 通常では「静寂」の意味ですが、茶道の世界が目指す静寂はそれに尽きるものではなく、「寂然不動」といって環境によって動揺させられることのない心境のことを説き、さらに「円寂」すなわち「涅槃」「大調和」の精神的な世界のことを説いています。この大調和の世界というものは南方録に「露地の一境、浄土世界を打ち開く」（茶室の路地を境にして浄土世界が広がる）と記述された中にある「浄土世界」を示しています。
この他にも利休百首（利休道首に同じ）といった、茶について教える和歌が遺されています。
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