三味線にネコは本当?
実際には多くの稽古用の三味線は犬の背中の部分の革を使っているということです。かつてはネコ皮を使っていましたが、貴重で高価なネコ皮は高級な細棹三味線と地唄用の中棹三味線に使われていました。現代の三味線の稽古用・太棹は全て犬皮を張ってあります。厚さや毛穴の大きさの違い、キメの違いから、ネコ皮と犬皮では音質が異なる様です。分厚い皮ほど重厚となり、ネコ皮のように薄いほど軽やかでぬけの良い音質になります。ネコの皮の三味線である場合、張ってある皮に残るネコの乳首の痕跡から一目瞭然です。
ネコ皮の三味線の違い
ネコ皮と犬皮では三味線の皮の厚みは犬の方が三倍ほど分厚くなっており、一枚の皮の中でも厚い部分と薄い部分があります。皮は毛穴の数が多い部分ほど分厚くなる性質を持っています。一枚の皮の中でこの毛穴の数が集中して多い部分と少ない部分の差が大きいものほど、三味線にしたときによく響くそうです。触った感覚から違っていることが分かるといいます。
三味線の「ビーン…!」と響く独特の余韻は「サワリ」とよばれ、3本の弦のうち2本が棹上部の上駒(かみごま)に 乗り、残りの1本が棹に軽く触れることによって生まれる仕組みになっています。この構造は中国の楽器にも沖縄の三線にもありません。江戸時代には、楽器の一部に針金を巻きつけて「サワリ」を生み出すなどさまざまな工夫をしながら、三味線の奏者と職人たちは独特の音色を追いもとめてきました。明治20年代には、ネジでサワリのつき具合を調節する「吾妻(あづま)サワリ」も考案されました。
「綾杉胴」といい、良い三味線の胴の内部には綾杉(あやすぎ)とよばれる溝がこまかく彫りこまれ、胴内で音がよく反響するようになっております。胴の外側に装飾のある三味線ですと査定評価では前向きになります。「綾杉」の彫も本土における三味線の改造のひとつと推測でき、鼓(つづみ)の制作者が三味線を作ったさいに鼓胴の鉋目(かんなめ、鉋による削りあと)を応用したためといわれています。(画像:化物婚礼絵巻より)
三味線伝来の状況
三味線が琉球から本州に伝来したのは江戸時代とされており、その様子の記録が、以下の2つの文献に残されています。
- 『糸竹初心集(しちくしょしんしゅう) 』(1664・寛文4)
- 『色道大鏡(しきどうおおかがみ)』(1678・延宝6序)
これらの2つの文献に共通することは、琉球の蛇革の三線のつくりかえから本土の三味線が生まれて、最初に琵琶法師が演奏をしたという点であるといわれております。
三味線の査定はいわの美術へ
- 象牙の撥や糸巻きがそろっている場合
- 綾杉彫りの胴
- 胴の外側に象嵌などの装飾がある場合
- 糸巻きの金具が金である場合
- 紅木や紫檀でできている場合
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