フランスのアンティークジュエリー刻印【買取・新着情報】

フランスのアンティークジュエリー刻印
2015.12.3

フランスのアンティークジュエリー刻印


世界で最も古くからジュエリーの歴史を重ねてきた国の一つであるフランスでは、盗難品の流通を防ぐことを主な目的として世界でイギリスに次ぐ二番目に「刻印制度」という方策がとられており、金・貴金属には必ず刻印を施さなければ売買してはならないと定められております。鷲の刻印はフランスのアンティークジュエリーで最も多くみられる刻印です。
フランスでは18k以下の金を金製品とは認めないという厳しい刻印の法律が定められているため、18kを超えても18k以下であることは少なく、鷲の刻印の信頼度は高いという人々もいることが特徴ですが、経年変化も経ているアンティークジュエリーの刻印は、プロであっても正確に把握することの難しい情報のひとつでもあるといわれています。アンティークを愛好される方や鑑定士を目指す方はおそらく目の健康には人一倍気を使って視覚を研ぎ澄ませているかもしれません。フランスで作られてから100年以上が経ったジュエリーの主要な刻印である「鷲の頭の刻印」は1838年から存在し、何と現在まで使われている刻印です。「18kは確実にありますよ」ということはわかりますが18k以上で20k台の場合でも同じ刻印であるために、金の含有率を知るにはアバウトな指標にしかなりません。

様々な刻印があるアンティークジュエリーも、いわの美術

  1. 金・プラチナ・銀の部分の重量
  2. 使われている宝石の価値
  3. 素材の品位
  4. 輝きの良さ
  5. 宝石のカット
  6. カラット数
  7. 全体のデザイン様式における現在市場での需要

以上を踏まえて総合的に判断したうえで慎重に査定額をお出ししております。

アンティークジュエリーは、お値段にとどまらない深い情報や意匠の素晴らしさ、その時代の作り手が込めた宝石の取り合わせと頭文字を利用した言葉遊びがあるものなども含まれておりますので豊富な知識のある査定人にお任せください。査定はすべて無料で行っております。まずは写真をお送りいただく無料査定フォームをぜひご利用下さい。
 
近日は直接のお持ち込み希望のお客様が増えております。メール査定の後にお持ち込みは完全に予約制で承っております。当社の近隣である横浜や横須賀のお客様でお持ち込みをご希望の方には、まず事前のご予約への了承をお願い申し上げます。
もしもフランスのアンティークジュエリーの刻印をお知りであれば、アンティークジュエリーをまじまじと見られる機会があった時にそのジュエリーが造られた年代、刻印を入れられた場所の特定が可能となります。何となく覚えて頂くといつか何らかの役に立つでしょうし、こうしたことを覚えるのは小~中学生のお子様の方が得意かもしれません。日本ではまだまだ子供が美術館や宝飾店でジュエリーを鑑賞するにはハードルもありますが、そんなことはイメージにすぎません。マナーも一緒に学びながら恐れずにどんどん出向くことが大切です。少しづつ日本の美術館にも子供が出入りすることが教育を超えて、大事な文化的慣習となることでしょう。
一つの方法として親子のコミュニケーションに元からお家にあるアンティークジュエリーを出してみて、ルーペで観察することなどは面白い方法かもしれません。
 

フランスアンティークジュエリー刻印の種類

フランスのアンティークジュエリーは刻印によって年代を計ることが可能で、刻印そのものが入れられるまでの経緯も一つ一つ違うところに面白味と深い味わいがあります。資料では右のような表で説明されますが、その一部を一つ一つ説明しますので改めてお調べいただければと思います。

  1. 鷲の頭(三代)
  2. 馬の頭
  3. イヌの頭
  4. サンジャック貝
  5. 三つ葉のクローバー
  6. フクロウ
  7. イノシシの頭
  8. ミネルヴァ
  9. ET

1.鷲の頭

1838年から現代まで続いて打たれている歴史のあるマークです。1800年代から3回もの改正を経て今日のフランス産ジュエリーに使われています。

  1. 一代目の鷲の頭(1838-1847年)19世紀の前半はまだ刻印制度がそこまで浸透していなかったために実際の市場でこの「初代鷲の頭の刻印」のある品に出会う機会はとても少ないです。
  2. 二代目の鷲の頭(1847年-1919年)どのような違いがあるかは資料から1代目、3代目と比較してみなくてはなりません。
  3. 三代目の鷲の頭(1919年から1980年代)1980年代のジュエリーにも、1920~30年代のアールデコのジュエリーにも同じマークが打たれていることが見極めをややこしくしています。例えば形と石の使い方は「アールデコ」そのものに見えても実はそれ以降に造られたレプリカということも良くあるものです。アールデコの1920~30年代に作られたことにこだわりを持っている場合、刻印がややこしいこともあるようです。

フランスの刻印制度は二種類の刻印が併用されていた期間というものも含まれキッチリしているのかアバウトなのか実はあいまいなものです。面白いことに、パリで刻印されたものとそれ以外の地方で刻印されたものとで鷲の顔の刻みには違いがあります。地方の刻印は鷲の目の下にバッテンが入っており、全体もパリに比べて荒々しいですが実際のジュエリーに打たれておりますと、やはり経験数が物をいいます。

2.馬の頭

1838年から1919年まで間だけ使われた刻印です。

 


3.イヌの頭

 プラチナのジュエリーに刻印されている印であり1912年から現在まで使われています。いわの美術ではプラチナも査定しております。


4.サンジャック貝

フランスで製造された14kの金に最も多い刻印です。動物の頭が多い中、貝のモティフなのでわかりやすいとされています。

5.三つ葉のクローバー 

フランスの金は18Kが標準とされているため、9Kや14Kが使われるのは稀ですが9K(9金)ゴールドにもまれに使われます。フランスの9K(9金)の金の刻印として最も一般的なのは三つ葉のクローバーです。

6.フクロウ

18K以上のジュエリーに刻印されています。フクロウの印は他国から輸入されてきたジュエリーをフランスで認証する際に使われるものであり、例えばイギリスで作られたアンティークジュエリーが輸入されてフランスでチェックを受けフランス国内で刻印が打たれるときに使われるといった具合の刻印ですが、こちらも鷲のマークと同じく輸入品ということをはっきり示すものではありません。

 このマークは来歴の分からないジュエリーにもつけられることもあり、もともとフランス国内で造られたジュエリーであるが刻印の様式を詳しく知らなかったジュエリー職人がフクロウを入れている場合や、オーダーメイドで作られて刻印が最初から入れられていなかったジュエリーに後から打たれているということもあるということです。

アンティーク時計の場合、18世紀当時は時計の機械部分はスイスで多く作られたため、ケースがフランスで作られたと想定される場合もフクロウの刻印が押されていることがあります。時計製造の工程にもよるため機械内部を先に作ったのか、機械を先に作って外側もフランス国内で仕上げたのかによって押される刻印が変わってしまうこともあるという例です。

7.イノシシの頭 

フランスののジュエリーに最も多く押される刻印です。

 

8.ミネルヴァ

フランスのジュエリー以外の銀製品についていることの多いマークです。老舗のフランス語の語学学校のマークに使われているので、フランス語を学ぶ方で見たことがある方は多いはずです。


9.ET 

1749年から使われており非常に希少です。金位を示す機能を果たしているわけではなく、本当にアンティークとしての価値がある古い年代のジュエリーにしかついていないという意味で重要なマークです。カラット数は別の方法で調べる必要があります。

 

刻印のないフランスのアンティークジュエリーについて

様々な事情で刻印が入っていないジュエリーというものもあり、これはこれで「刻印が入っていない」という事実が大切になります。
現在南アメリカで作られているフェイク(偽物の)アールデコ・ジュエリーのプラチナ、シルバーにはこのような刻印はありません。こうして愛好家やジュエリー専門家は刻印のことをたくさん勉強していると思うと、この分野の奥深さと頭が上がらない思いを抱きます。
刻印のないアンティークジュエリーがもつ事情も様々です。
  1. 一番多い例としては指輪のサイズ調整をした際に刻印の部分を切られたケースがあります。
  2. クラスプというパーツ交換の際になくなったケース。ちなみにペンダントの土台などの場合はなるべく刻印のあるパーツを無くさないように直す傾向があるようです。
  3. 純金など柔らかい金属の長期間使用で摩耗したケース。
  4. ジュエリーを作った職人が税金の支払いを避けたこと(どれほど古いジュエリーであっても刻印がないならば、新しく打つことが法律で定められています)
  5. マークを入れると壊れそうなほど細くて繊細なジュエリーのため、職人がマークを打ちたくなかった場合(2㎜以下のジュエリーの場合は免除しても良いという決まりもあります)
以上がその事情の例です。
そして前述のフェイク(偽物)メーカーの場合は、「モダン」と分類される時期のホールマークを使いません。モダンのホールマークを打てば、モダンの作品ということになり、フェイクメーカーの商売としては不都合が生じるということです。しかし精巧にフェイクを作る作り手もいるでしょうし技術の進歩を推すると一概にこれが贋物だとは言えない面も大きいのです。いわゆるフェイクであることやアンティークという点には該当しないジュエリーも本当の金・プラチナ・銀かどうか?品位はどの位かの観点は等しく重要となります。そうしたことと同じように、いわの美術のお電話口でも現物の様子をみてこそ判断が付くものが圧倒的に多いため、お調べがいる品物の際にはお客様に写真の撮影をお願いしています。査定したいお品物によって写真撮影するポイントが異なりますので、お電話でおたずね下さるとスムーズとなります。


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