展覧会レポート:そごう美術館「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」に行ってきました!【買取・新着情報】

展覧会レポート:そごう美術館「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」に行ってきました!
2018.6.26

< 展覧会レポート:そごう美術館>



国際陶磁器フェスティバル美濃

「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」


 こんにちは、6月も下旬となり今年ももう半分が終ってしまいますね。

梅雨まっただ中で本格的な夏へと移行しているのをあまり実感していなかったのですが、

今日シオカラトンボが目の前を通り過ぎていったのを見て夏の訪れを感じました。

暑い日が続きますので体調など崩されませんようご自愛くださいね。

 

さて、今回は横浜そごう美術館で開催されている

国際陶磁器フェスティバル美濃「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」

に行ってきました!

 


 開催概要  

 

美濃陶芸は、古くは桃山の華と称され、志野、織部は、侘び茶の誕生とともに隆盛を極めました。また、釉薬の展開と独自の表現により、日本陶磁史上稀にみる鮮やかな造形美を確立しました。
本展は、三部構成、約120点の作品により美濃陶芸の歴史と現在をご紹介します。
第一部は、桃山時代の志野、織部などの作品12点と近現代、人間国宝に認定を受けた荒川豊蔵、塚本快示、鈴木藏、加藤卓男、加藤孝造の5作家による5作品。第二部では、「国際陶磁器フェスティバル美濃`17」における受賞作・入選作からの約70点。そして第三部では、美濃陶芸の今後を担う約30作家による約30作品を展示します。
美濃陶芸の現代までのさまざまな様相をお楽しみください。(「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」より抜粋)


 

展示会名

国際陶磁器フェスティバル美濃

「桃山から現代へ 志野、織部 伝統の継承展」

会場 そごう美術館 (そごう横浜店6階)
会期

平成30年6月15日(金) ~ 7月8日(日)

休館日

会期中無休

開館時間 10:00 ~ 20:00(入館は閉館の30分前まで)
観覧料

当日:一般 1,000円(800円)/大学・高校生 800円(600円)/中学生以下無料

※ミレニアム/クラブ・オンカードをお持ちの方は(  )内の料金

※前売りおよび20名以上の団体券は( )内料金

※障がい者手帳各種お持ちの方、および同伴者1名は無料で入場可能

 

 

  < 鑑賞時間目安 > 

展示数が全体で120点とそこまで多くはないのでじっくり見てもおおよそ1時間~1時間30分

  < 混雑具合 > 

平日のお昼前でしたので混雑することもなく快適に鑑賞できました。

土日は来場数も増えることが予想されますが、ゆとりのある展示ですのでゆっくりと鑑賞できるかと思います。

< 感想 >

桃山時代の作品少なめ、現代作家ものが好きな人におすすめ!

タイトル情報のみで一章から二章までは桃山時代から昭和頃まで各時代10点ほどの作品が展示、三章からは平成以降に作られた作品の展示構成なのかと思っていましたが、展示のほとんどが現代作家作品(国際陶磁器フェスティバル美濃の受賞、入賞作品)です。


桃山時代の作品は13点ほど、明治から平成にかけて活躍した人間国宝作家5名の作品が各1点ずつ展示されており、全体の8割強が国際陶磁器フェスティバル美濃の作品や美濃の現代若手作家の作品の展示でした。

現代作家の独創性や自由な作風がお好きな方には面白く感じられるかと思いますが、古い時代の作品を期待されると少し肩透かしを食らうかもしれません。

 


 見どころ

 1.桃山時代の貴重な焼物 


美濃焼きは岐阜県の土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市で焼かれる陶磁器の総称です。

約1300年前の古墳時代・飛鳥時代に「須恵器」と呼ばれる土器が焼かれたことがはじまりだと言われており、桃山時代の織田信長の政策で志野焼に代表される「美濃桃山陶」が焼かれ一大産地として発展していきました。

江戸以降、志野焼に加え織部焼が生まれ今日まで日本国内の家庭食器の生産の大半を担うやきものの生産地として知られています。

 

第一章では志野、織部、黄瀬戸、瀬戸黒など桃山時代に製作された大変貴重な作品13点が展示されており、続いて荒川豊蔵、塚本快示、加藤卓男、鈴木蔵、加藤孝造ら人間国宝5人の作品計18点が並び伝統の美濃焼きを紹介しています。

 

美しさや味を追求する伝統の古美濃の美しさや古美濃と、その伝統を守りながら現代へと引き継いでいる人間国宝の作品への時代の移ろいが感じられます。



 2.世界中から集まった個性的な作品 


第二章では2017年に開催された国際陶磁器フェスティバル美濃の受賞、入選作品が67点展示されています。

国際陶磁器フェスティバルとは、日本だけでなく世界でも知られる陶磁器の産地 岐阜県多治見・端浪市・土岐市を舞台に1986年から3年に1度開催されている世界最大級の陶磁器コンペディションです。

第10回開催時には60ヵ国から1,000人以上の応募者が参加しており、2014年には名誉総裁に秋篠宮眞子内親王が就任されています。


今回は2017年のテーマである「既成の概念にとらわれず、自由な発想でやきものの未来を切り拓く作品」に基づいて応募、審査された陶磁器とは思えないダイナミックでいて繊細な受賞、入選作品がずらりと展示されています。鑑賞中どうやって作ったのか気になりっぱなしでした! 

 

以下私が気になった受賞作品です。


【銀賞】・・・風船唐綿・芹・マンゴー・鶏頭・紫陽花・海綿・セロリ・糸瓜・水菜・ドラセナ・百合・蝉・山茶花・舞茸・薊・・・ / 山本健史

個人的に一番好きな作品。調べたところ石膏型に粘土を詰めて形を作り、出来上がった作品を連続して展示するという手法を取られることが多い作家のようです。

 

審査員特別賞(奈良)】殻ヲ纏ウ空 / 田上真也

パンフレットで一番目立っている両翼のように対で展示されている作品。

本展示でも入り口入ってすぐのところに展示されていて存在感を放っていました。


【金賞】Topological Formation /  加藤智也

腸のような形と言ったら失礼かもしれませんが不思議な形の作品。どうやって作るのか謎な作品NO.1です。


【金賞】Hundred Rice Bowls / SITA WONG(中華人民共和国)

マカロンのような可愛い配色のお茶碗にお米が山盛り。かわいいです。


【審査員特別賞(Gabat)】食記-Eating series- Convenience life, street vendors / 郭 舒凡(台湾)

四角い粘土に食器を押し付けて型を残した作品。食器を作るのではなく記録するという発想に驚きでした。




 3.美濃焼きの次代を担う作家たち  

 

中島晴美や新里明土など時代を牽引する現代の作家約30名の作家の作品が各1つずつ、30作品が展示されています。

第一章からの流れで美濃陶芸の現代までの変遷をたどり、これからの美濃焼きの多様性に思いを馳せます。

伝統的な美濃焼きから現代の感覚を取り入れた作品まで陶磁器や日本という枠を超えて新たな世界へと飛躍する作品を多彩な視点で楽しんでみてください。

 

 

 おわりに


国際陶磁器フェスティバル美濃のPR色が若干強いのかなと感じなくもないですが、古美濃から現代作家までバラエティに富んでいて終始飽きることなく鑑賞できました。

桃山時代の名品は個人蔵のものですので今後まとめて見る機会もなかなかないのではないでしょうか。美濃の多彩な陶芸文化を感じられる本展は巡回展は横浜のみですので、世界中から集まった作品の数々をお見逃しなく…!


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