美術館レポート:神奈川県立近代美術館 葉山に行ってきました!
今回は神奈川県立近代美術館 葉山で開催されている
『日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク』展
の概要や見どころをご紹介致します!
開催概要
企画展名 |
『日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク』展 |
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会場 |
神奈川県立近代美術館 葉山 |
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アクセス |
JR横須賀線「逗子」駅前 (3番のりば)、または京浜急行「新逗子」駅前 (南口2番のりば)から京浜急行バス「海岸回り葉山行き」で「三ヶ丘」下車 |
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会期 |
2019年9月21日(土)~12月25日(水) |
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休館日 |
月曜日(9月23日、10月14日、11月4日は開館) |
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開館時間 |
午前9時30分~午後5時 |
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観覧料 |
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鑑賞時間 |
約1時間 |
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混雑度 |
平日は混雑なし。土日やや混雑。 |
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公式HP
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http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2019_kajfranck |
企画概要
カイ・フランク(1911~1989)は、シンプルかつ機能美をあわせもったプロダクトを多数デザインし、「フィンランドの良心」と呼ばれ、20世紀の同分野において多くの革新をもたらし、
最も優れたデザイナーの一人と言われています。
本展は、フィンランド唯一の公立ガラス研究機関であるフィンランド・ガラス博物館と、カイ・フランク本人から直接譲り受けた多くのプロダクトを収蔵しているタウノ&リーサ・タルナ・コレクションから作品をお借りし、カイ・フランクの多彩な作品を幾何学形態によって紹介する世界を巡回する展覧会です。
世界中で愛され続けているプロダクトをはじめ、アートピースと呼ばれる技巧を尽くしたガラス作品など、2018年にフィンランドで行われた「KAJ FRANCK&GEOMETARIA」展の約2倍‼
約300点の作品が一堂に会します。
最後のゾーンには、1950年代に来日した際にカイ・フランク自身が撮影した日本の風景や漁村、
農村で働く日本人の普段の暮らしぶりを切り取った写真の数々が紹介されています。
フィンランドを代表する、そして日本を愛してやまなかった偉大なデザイナーのこれまでの作品や彼の内面が垣間見れる大変貴重な展覧会です。
見どころ
1.幾何学的形態に注目した展示
円・三角形・四角形・円錐・円柱・楕円形の6つの基本的なかたち(6つの幾何学的形態)に着目し、用途に合わせた形選びを展示と共に解説してくれています。
カイ・フランクはそれまでの華美でブルジョワ的なディナーセットを刷新し、より利便性・機能性の高いテーブルウェアを安価に供給することを常に目指しました。
毎日使うものだけに、丈夫で壊れにくく、収納もしやすいもの、且つデザインに優れているものを考え、形にもこだわったことがよく分かる展示となっています。
2.計算された展示空間
最後の展示室は、葉山の海が見える大きな窓から光がふんだんに差し込み、この展覧会ためにデザインされた木製の棚に色鮮やかなカイ・フランク作品が配置され、より魅力的に作品が観られるような工夫が随所に施されています。
この空間を創りあげたのは、近年国内外で注目を集めるデザイナー熊野亘氏。
熊野氏はアアルト大学(フィンランド)に留学後、東京にてイギリス人デザイナーの ジャスパー・モリソン氏のアシスタントデザイナーを務め、その後独立し「kumano」を設立。
フィンランドで学び暮らした経験が活きている、計算され尽した空間も見どころの一つです。
3 カイ・フランクの目を通した日本の姿
カイ・フランクは幼少期より日本に特別な関心を持ち、日本に関する書籍を読みあさっていたと言われています。1956年に念願の初来日を果たし、3度日本を訪れていますが、北大路魯山人や濱田庄司といった著名な美術関係者と面会する一方で、熱海や飛騨、丹波などの日本の漁村や農村、また益子や岡山などの窯元を訪れ、そこで暮らす人々や職人たちと触れ合い、日本の様々な手仕事や意匠に注目しました。来日時に撮った日本の田園風景や漁港、子ども達の姿、市井の職人達など写真が展示されています。
彼の目に映った自然体の日本の風景が映し出され、大変興味深い展示になっています。
おわりに
筆者もカイ・フランクデザインの製品を数点愛用していますが、購入のきっかけはシンプルなデザインに惹かれてだったものの、実際に使って、その使い勝手の良さに感動し、ついつい数が増えてしまいました…。
ロングセラーの「ティーマ」シリーズですが、発売当初は「キルタ」という名前で世に出たものの人気は芳しくなく、現代生活に馴染むよう改良を重ね今の人気に繋がったのだとか。
「キルタ」から「ティーマ」へ。その変化をじっくり観察できるのもこの展覧会ならでは‼
今ではなかなか市場に出回っていない活動初期の作品や、「色は唯一の装飾」と語っていたカイ・フランク氏が拘った「イッタラ」シリーズの色使いなどなど、日本国内でこれだけ多くの作品を見る事ができる滅多にない機会です。
北欧に関心がある方はもちろんのこと、そうでない方も十分楽しめる展覧会かと思われますので、
是非葉山まで足を運ばれてみてはいかがでしょうか?