朱泥急須
皆さんは、お茶屋さんなどで朱色の急須を見た事がございますか?
それは朱泥急須と呼ばれるお品物で、発祥は中国と言われています。
今回は、古い歴史をもつ朱泥急須についてお話致します。
朱泥とは・・・
朱泥は、鉄分を多く含んでいる土から作られる焼物の事を指し赤みを帯びたオレンジのような色合いが特徴的です。
朱泥が初めて作られたのは、中国江蘇省の宜興近郊に建てられた宜興窯という窯でした。
宜興窯は中国で代表的な8つの窯のうちの1つで、現在も紫砂と呼ばれる土を使った作品が数多く作られています。
唐代では主に青磁などを作っていましたが、明時代に煎茶の文化が流行した事から作品の幅を広げ、そこで朱泥や紫泥が生まれました。
その後、中国の紫泥が長崎を経て江戸の日本に伝わり、煎茶を愛する人々や、コレクターなどの手に渡ります。
そんな日本の中でも常滑市で煎茶を愛し数多くの煎茶道具を所有していた医師が、中国から伝わった紫泥に一目ぼれして集め始めました。
しかし、中国からの輸入だけでは多くの作品が買えず困った医師は、この作品を日本でも作れないかと考え、当時有名だった陶工の
初代杉江寿門と片岡二光に自身の持っている紫泥を渡し、これと同じような物を作ってほしいと頼みます。
杉江寿門と片岡二光は試行錯誤を重ね、赤みを帯びたオレンジ色の急須を完成させます。
紫泥の深みのある茶色よりも明るい色味が中国にある朱泥に似ていた事から日本の朱泥として安政元年に誕生し、
1818年には、中国の文人で宜興窯の製作方法を知っていた金士恒を日本に招き杉江寿門と片岡二光に中国の技法を伝授しました。
その結果、中国の技術を用いた朱泥急須が日本でも作られるようになり、多くの人々の手に渡りました。
現在の日本では、発祥の地でもある愛知県常滑市を筆頭に、岡山県の備前市伊部や三重県の四日市市などでも生産されています。
※中国から長い歴史を経て日本に伝わった朱泥急須ですが、実際に使用すると
どのような効果があるのでしょうか。
朱泥急須の効果
朱泥の土には、以下のような特徴があります。
① 鉄分を多く含む
② 粒子がとても細かい
③ 亜鉛や鉄など他の物質をあまりふくまない
まず鉄分を多く含む土で作られた急須は、鉄分とお茶の成分であるタンニンが化学反応を起こし、
お茶を飲む時に感じられる嫌な渋味を鉄分が吸ってくれてまろやかな味わいとなります。
しかし、釉薬などが使われると下地とお茶の間に壁が出来てしまい鉄分とタンニンが触れず化学反応が起きない為、
鉄分を多く含む土で急須を作った場合は素焼きの急須でないと鉄分の効果が感じられません。
また、朱泥は粒子がとても細かく、それにより焼き締めた際土の表面に目に見えないような細かい無数の穴が作られ、これを多孔質と呼びます。
まっさらな表面ではなく凹凸がある事でお茶の触れる面積が増え、多くのタンニンが鉄分と化学反応を起こしよりまろやかな味わいとなります。
それ以外には亜鉛や鉄など他の物質をあまりふくまないというのも朱泥の特徴です。
亜鉛が多いとお茶の渋みが出たり飲んだ時のコクがなくなる事があり、銅が多いとお茶本来の深みが感じられず味や香りの余韻もなくなってしまいます。
様々な物質が合わさった土ですとお茶の成分を殺しかねませんが、朱泥は他の物質を含まず鉄分が豊富なため、お茶本来の味わいが堪能できる急須となるのです。
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