印材とは、印鑑やハンコなどに使われる素材を表し、金属・石・牙骨・木・プラスチックなどが使われています。
ちなみに印鑑やハンコと呼ばれていますが、正確には印章と呼ぶそうです。
現在では多くの方が使われるようになった印材ですが、始まりは紀元前5000年頃の古代メソポタまで遡ります。
印材は紀元前7000年~6000年頃の中東の遺跡から発掘された事から、世界最古の文明である古代メソポタミア文明で使われていたと言われています。
作られた当初は平べったい板に文字を彫ったような印材でしたが、何度も印を押す手間を省く為、その後転がして模様を連続で写す円筒印章が作られ、所有者の印として貴重品を入れた容器を密封する際に使われたのです。
そしてエジプトでは、ヒエログリフと呼ばれるエジプト文字が刻印されたスカラベ型印章が作られました。
ちなみにスカラベというのはエジプト語でコガネムシという意味で、スカラベ型印章もコガネムシの形をしたユニークな印鑑となります。
エジプトでは、スカラベが転がしている糞を太陽、糞を転がし大きくしていく習性が太陽の運行を司っていると解釈し、太陽神ケプリと同じものと考え崇拝した事から、スカラベを模った印章や装飾品などが作られていました。
その後、インダス文明では、インダス文字と動物が凍石と呼ばれる柔らかく加工しやすい石に彫られているインダス式印章が作られ、そしてシルクロードを渡って戦国時代初期の頃に中国へと伝わるのです。
中国では最初古代メソポタミア文明で行われていたような所有者の印として貴重品を入れた容器を密封するという用途で使われていたのですが、秦と漢の時代になると持ち主の権力を表す象徴へと変わります。
そして、前漢の中期頃から紙の普及が始まった事に伴い、封をするだけではなく朱泥で紙に印を押すようになり、ここから現在の印鑑の用途が生まれたようです。
そして中国から日本に伝わったのは弥生時代初期頃でした。
しかし、弥生時代初期の日本では、まだ漢字というものが知られていなかった為、本格的に使われるようになったのは飛鳥時代後期頃と言われ、大宝律令の制定とともに公的証明のための官印と呼ばれる印章が配られてからだそうです。
平安時代後期から鎌倉時代には簡略化された花押というものが使われましたが、室町時代に僧侶が書で印を使用するため印章が復活を遂げ、江戸時代では私文書への押印や実印登録の印簿帳が作られるなど現代の印章文化が確立した時代でもあります。
印材には、様々な素材がございます。
今回は数多くある石の中から数点ご紹介致します。
●寿山石
寿山石は、葉ロウ石と呼ばれる蝋燭のような柔らかい鉱物から作られる印材で、中国福建省寿山村にて約1,500年前から採掘され、中国で採掘される印材の中では、色彩・品質共にトップクラスを誇ります。
また、長年寿山村の様々な場所で採石され続けてきた為、寿山石の種類は100以上になっているそうです。
しかし、石は人工的に作られていないので採り終ってしまえばそこで終了となります。
現在寿山石は長年採石されてしまった為、政府から採石規制が入り新しくとれる数が減少してしまい希少価値が上がってきております。
●田黄石
田黄石は、寿山石の100以上ある種類の中の一種で、希少性が高く美しい石が多い事から印材の王様とも呼ばれています。
また、寿山石のほとんどは鉱物から採石されますが、田黄石は唯一水田から採石される石なのです。
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なぜ田黄石が希少と言われているのかというと、寿山村にある田黄坂近辺の水田でしか採石出来ない事と、ほとんどの石が中国清代初期に取られてしまっているという2つの理由があげられます。
また、簡単に見つかる石でもない為「黄金入手は簡単だが、田黄は求めにくい」という言葉が出ている程採石は難しく、田黄石を見つけようとしても費用だけがかかり破産してしまう業者もいるそうです。
●鶏血石
鶏血石とは、名前の通り鶏の鮮明な血が混じったような色をしている事から鶏血石と呼ばれています。
中国浙江省で約1000年以上前から採石されていた石で、その美しさから石后(石の皇后様)とも呼ばれ、中国では国宝ともされていました。
また、1972年に行われた日中国交正常化の国交を結んだ際に、その当時中国の首相であった周恩来が同じく当時日本の首相である田中角栄に鶏血石の大紅袍と呼ばれる印材の一対を渡した事も有名なお話です。
鶏血石は、色の濃さや量、強度によって良い品物かどうか決められています。
本物の血のような鮮やかな赤が周りに散らばらず固まっていて石の内部まで染み込み、赤の量が80%以上を占め、硬度も3以下の品物が良いそうです。
中国の元首相周恩来が元首相田中角栄に送った大紅袍の印材は、良い鶏血石の条件を全てクリアしている最高級の品とされています。
印材の買取について
印材の買取では、素材・状態・時代・有名な篆刻家の彫った作品かどうかというところが重要となります。
ですが、上記に記載した印材は希少性が高く贋物も数多く出回っています。
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