今回ご紹介するお品物は、西岡良弘作『斑唐津 盃』です。
唐津焼のなかでも、もっとも人気があるのが酒器、とりわけ、ぐい吞みや盃は根強い人気があります。古くからやきもの好きの間で言われる『備前の徳利、唐津のぐい吞』という言葉が、それを象徴しています。
唐津焼最大の楽しみは、うつわを育てることとも言われ、実際に、酒を飲んで繰り返し使い込むことで表面の釉薬が徐々に薄くなり、青や黒の小さな斑模倣が味わい深く浮かんできます。時間とともに堆積した、奥行きのあるしっとりとした光沢を放つ自慢の盃を持ち寄って酒を酌み交わす唐津コレクターも多くいるそうです。
作者について
西岡良弘は1954年、現代唐津に多大な影響を与えた陶芸家として名高い西岡小十の長男として唐津に生まれました。父のもとで修業したのちに陶芸家として独立し、主に皿や器などの日用食器を制作しています。94年に唐津湾を臨む浜玉町に凌雲(りょううん)窯を築窯、2000年には大阪で父と「小十・良弘二人展」を開催しました。活動は国内のみならず、ドイツ・ミュンヘンにて個展を開催するなど、海外からも高い評価を得ています。
多様なやきもの ― 唐津焼の魅力
今からおよそ400年前、豊臣秀吉が全国を統一し政権を担った桃山時代、九州は肥前にひとつの斬新なやきものが誕生しました。唐や韓に開かれた港のあるこの土地に、大陸よりもたらされた技術が加わり、一躍開花したのが「唐津焼」です。唐津焼は、伊万里焼の先駆けともなり、日本のやきものの歴史を大きく変えました。
素朴さのなかに味わいのある風合いで、多くのやきものファンから愛されてきたこの唐津焼は、酒器をはじめ、茶碗から大皿、その他日常使いの諸々のやきものに至るまで、種類の幅広さを特徴としています。また、作風も多様で、本作品の、白濁した釉薬を全体にかけ釉調のまだらな色むらが味わいとなる「斑唐津」のほか、文様を描いた「絵唐津」、白濁色と黒色の釉を掛け分けた「朝鮮唐津」、近代になって取り入れられたという技法の「粉引(こひき)」、黒、青、黄といった釉色によって彩られる「黒唐津」、「青唐津」、「黄唐津」などがあります。
およそ400年前の桃山時代、わずか30年ほどの間に焼かれた古唐津は、日本で初めて筆で絵付けを施したやきものだと言われています。このことからも唐津焼は使うだけでなく、見て楽しむことのできる画期的な器として古くから人々の暮らしに取り入れられてきたことが分かります。
このように唐津焼は、観賞用からお茶道具、日用雑器まで、それぞれの人が求める「器を愛でる」時間を充足させてくれます。やきものの原料である土の肌合いを楽しんだり、形を楽しんだり、釉調を楽しんだり、絵を楽しんだりというように、さまざまな楽しみ方ができる自由さが根強い人気の理由なのかも知れません。
いわの美術でのお買取りについて
弊社は、今回ご紹介した西岡良弘氏のほかにも多数の作者による陶磁器のお買取りをいたしております。種類も什器類のほか、各種茶道具、中国美術、西洋アンティークなど幅広い品目の買取が可能です。
他の買取業者では見抜くことが難しい和食器やアンティーク食器の骨董価値や、時代や作者の詳細がわからない場合でも、経験豊富な鑑定士がしっかりと目利きし価値に見合った買取価格をご掲示いたします。
査定に関する手数料がかかることは一切ございません。また査定額にご納得いただけない場合、キャンセルも無料で承っておりますので安心してご相談いただけます。
買取方法は、お客様のご都合に合わせて、電話フリーダイヤル0120-226-590、LINE、メールをお選びください。またお近くにお住まいのお客様や、売却ご希望のお品が多数の場合は出張での買取も行っております。
皆さまからのご依頼をスタッフ一同お待ち申し上げております。