安藤日出武は美濃焼で有名な日本の陶芸家です。
数々の受賞歴があり、黄瀬戸で岐阜県重要無形文化財保持者としても認定されました。
美濃桃山陶を基本としながら「古来の穴窯で自分なりの黄瀬戸を生み出したい」と考え、80歳を超えた現在でも息子である4代目の安藤工と共に新しい開発を試み、挑戦し続けています。
安藤日出武は1938（昭和13）年、祖父の代から続く窯元の3代目として岐阜県に生まれました。
高校卒業後に家業を手伝うようになりますが、当時はどこにでもあるようなごく一般的な窯で、盃や小皿など磁器ものを大量生産して売っていたそうです。一生このままでいいのだろうか？と思い悩んでいた時、陶芸界の巨匠である加藤唐九郎が訪ねてくる機会がありました。そして「焼物をやるなら、美濃で生まれた焼物をやらないかんぞ」と言われます。
この一言がきっかけで美濃の焼物を勉強しなければならないと思い、本格的に陶芸の道に進むことになりました。
先代である父は焼物の勉強より書を嗜んだり漢詩を作ったりと文人的なところがあり、焼物に関して教わった事は殆どなく、何もないところからのスタートでした。
独自の技法を探すために桃山陶発祥の地一帯の山々を登り、土を探して窯跡を掘るといった日々を繰り返し、最初の頃は失敗ばかりで時間だけが過ぎていきます。
それだけでは生計を立てられないので売れるものを作らなければなりませんが、そういったものに満足は出来ず、これが自分の人生をかけて成し遂げるものなのか？と自問自答することもありました。
勉強の日々を送りながら、桃山陶は当時の職人が電気も何もないところから苦労して素晴らしい焼物を作ってきた歴史があり、環境や考え方を理解しなくては自分なりの新しいものは作れないのではないかと思い始め、穴窯を築くことになります。
ここに至るまで険しい道のりでしたが、60年以上経った現在でも完璧に成功したと感じたことはなく、まあまあ良くできたと思える作品もごく僅かだそう。「自分たちの仕事には完成はない、死ぬまで勉強・挑戦の日々である。本物の焼物を目指して誠心誠意、心を込めて作品を作ることを一番大事にしている。」とのちに本人が語っています。改めて焼物というのは奥が深いのだと感じました。
５世紀頃に朝鮮半島から伝わったもので、日本最古の窯と言われています。簡単に説明すると斜面に穴を掘り、中に空間を作って土をかぶせただけの簡単なつくりです。だからこそ焼くことが難しく効率が悪いので、現代にはほとんど残っていません。
数日掛けて薪を割り、作品を作り窯に詰めますが、窯の中は置く場所によって温度や灰の被り具合が変わるので慎重な作業が必要になります。そして焼成ですが、じっくり焼き上げるには温度が上がるまでは火を絶やさないように徹夜しながら70時間程薪をくべ続けなくてはなりません。焚き終えて窯の温度を下げるまで1週間程かかり、ここでやっと窯から出すことができるのです。
軽く書き出しただけでも日にちと手間がかかる工程が多いなという印象を受けますが、電気窯などでは表現できない自然釉の美しい姿をみることができます。
いわの美術では安藤日出武の作品をお買取りしております。木箱や箱書、栞の有無やお品物の状態によって査定額が変わる場合がございます。
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安藤日出武のほか、高い芸術性を持つ異国の文化と日本文化との融合に成功した人間国宝・六代加藤卓男、陶芸はもちろん絵画や書道など様々な芸術に精通していた北大路魯山人、伝統の枠にとどまらない独創的な作風で知られる加藤唐九郎など、記事でご紹介させて頂いた作家以外の作品もお買取りさせて頂いております。
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