伊万里 花唐草 宣喜年製(宣嘉年製)
こちらのお品物は、伊万里の花唐草です。
余白を埋める名脇役であった花唐草文様は、伊万里の歴史の中で最も使われたモチーフではないでしょうか。
唐草文に花を加えてアレンジされた花唐草文様は進化を続け、ついに全面が花唐草として主役に躍り出ています。
花唐草の細く延びる蔓の流線と薄いグラデーションの花の清涼感が美しい皿です。
唐草文様
唐草文様は中国から日本に伝わった文様ですが、元々の起源は古く古代エジプトにまで遡ると言われています。
はっきりしませんが、弧線の植物文様や帯状の渦が唐草の原点という説が有力です。
そして古代ギリシャ、古代ローマへと変化しながら受け継がれ、シルクロードを経由して中国にたどり着きました。
中国では更に多彩な展開を遂げ、大陸から日本に渡ったのは古墳時代の末期とされています。
中国での名前は『蔓草文』であり日本での『唐草文』という呼び名は、当時の王朝であった唐から来た舶来物であったことからかもしれません。
それぞれの土地で進化し続けた文様のため、実際には存在しない何でもありの蔓草となりました。
蔓草は生命力が強く蔓を伸ばし続けることから、長寿延命・子孫繁栄の縁起の良い文様として好まれます。
日本では初めは仏教装飾で登場し、着物や蒔絵などにも使用されるようになりました。
中国から伝わった磁器にも唐草は頻繁に描かれており、それを模写していた伊万里にもごく初期の段階から唐草が描かれています。
周辺や側面に描かれることが多かった唐草は、江戸後期には占める面積が増えていき、唐草文だけの磁器も好まれることになりました。
唐草文は日本でも独自の変化が見られ、現代で最も有名な唐草文は、昭和の泥棒コントの必需品のこちらの柄です。
蔓のみのシンプル化が進んだ文様となっています。
そしてユニークな変化を遂げた唐草文は『蛸唐草』です。
古くは中国の宋時代の磁器に存在が確認されています。
日本では19世紀に流行って大量生産されたのですが、戦後すぐはジャンク扱いされ、数年後に蛸唐草という名で呼ばれ始め、今では人気の柄の一つです。
花唐草
唐草の一種として中国で描かれていた花唐草は、宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる極楽に咲く花や牡丹・菊などを唐草と組み合わせて描いています。
中国は縁起の良い物や、意味のあるモチーフを重要視しますが、日本は意味ではなくデザインに重点を置く傾向がありました。
中国で宝相華・牡丹・菊であった花唐草の花は、日本では何かよく判らない花へと生まれ変わっています。
そして花唐草は時代と共に様々なバリエーションが描かれます。
花なしで葉や茎を細かく描いた『萩唐草』は、花がないですが花唐草の一種です。
最新型は『微塵唐草(みじん唐草)』と呼ばれる文様です。これは萩唐草からの進化形なので、花唐草に分類されます。
このように魅力的な文様を生み出し続けた花唐草は、意味を重視せずデザインに拘った賜物と言えます。
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