郭煕 「早春図」の工芸画掛軸をお買取りいたします。
写真のお品物は、中国宋代の画家 郭煕(かくき)
「早春図」の絹本工芸画の掛軸です。
原本は故宮博物院に収蔵される国宝で、
山水画の最盛期であった北宋代作品でもひと際評価が高く、
歴代王朝の皇帝が真価を認めた中国美術史に輝く
墨画淡彩図の傑作です。
郭煕について
郭煕の生没年は不詳とも言われますが、通説では1020年ごろ河南省温県で生まれたとされています。
若いころは道教を遊学し、宋初期の山水画の大家・李成に私淑して山水画を究め、弟子の范寛の画風も取り込み、華北山水画の二大流派を統合して李郭派を大成します。
神宗時代の初めに登用され宮廷画家となると、郭煕の大画面の斬新な作風は革新の意気高い若い神宗を魅了し、官衛や宮殿、寺院のために壁画や大屏風を制作する大役を担いました。
郭煕はまもなく御書院の芸学ポストに抜擢された後、書画担当技官の最高位である待詔に昇進しました。
御書院は翰林学士院の下部組織であり、他の宮廷画家は同じく下部組織である翰林図画院に所属していましたが、神宗は翰林図画院の因習に囚われず郭煕が天分を自由に発揮できるよう配慮して御書院に配する異例措置をとったとされ、郭煕の絶大な支持者であったことが伺えます。
しかし神宗崩御後は士大夫階級の美意識と郭煕の技巧主義的な絵は相容れなくなり、書画の才に恵まれた次々代の徽宗も郭煕の芸術を解さず、忘れられた画家となり多数の作品が宮殿から撤去されてしまったと記録されています。
「早春図」は時代の趨勢に翻弄された郭煕作品の中で現存する貴重な名作の一つです。
郭煕の作品は宋末に受難を迎えますが、
「早春図」に結実した郭煕の美学は、没後に郭煕の子・郭思により編纂された『林泉高致』に纏められ、残存した作品とともに後代へ多大な影響を残しました。
『林泉高到』は山水訓に始まり、「山水は大物であり遠くから見るのが良い」として山水画を大観画面に定義し、実際の山野の風景ではなく神仙思想のもとに築かれた深山幽谷の理想風景を是としています。
画法についても詳述があり、李成から学んだ雲頭皴や蟹爪樹の枯木の特殊な画法に加えて、郭煕が多角的な自然観察により確立した中国絵画独自の遠近法技術を総括し、高遠(仰角視)、平遠(水平視)、深遠(俯瞰視)の「三遠(さんえん)」を説きました。
李郭派の画法は元代の朱沢民・唐子華・姚彦敬、明代の浙派、朝鮮の大画家である安堅を含む高麗・朝鮮王朝時代の画家、清代の袁派まで永い命脈を誇り、東アジア山水画の古典的様式として、今日まで長く広く続いています。
郭煕 「早春図」の工芸画掛軸をお買取りいたします。
写真の「早春図」工芸掛軸は、美術印刷と出版を専門とする二玄社のもので、絹本に精緻に印刷され桐箱入りの最高品質として人気を博しています。
左中ほどの郭煕による『早春壬子年郭煕図(そうしゅんみずのえのとしかくきず)』の書と、後世に文人皇帝・乾隆帝によって書き足された右上の七言絶句自作詩、歴代皇帝が作品の真価を認めて判を捺した皇帝の璽まで再現性が高く、高価なお品物のため中古市場でも高値でのお取引が多く見られるお品と言えます。
今回お買取りしたお品物は、桐の共箱は無かったものの、掛軸本体の経年の小傷程度で状態は比較的良好であり高評価でのお買取りとなりました。
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いわの美術では古美術・骨董品を中心に幅広いお品物をお買取りしており、中国山水画の工芸画掛軸に関しても、人気作家のお買取り実績がございます。
掛軸のお買取りの際には作家に加え状態と共箱の有無が重要ポイントとなってきます。お部屋に飾られていた掛軸の場合はヤケに、仕舞われていた場合は虫食いにご注意くださいませ。
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