三岸節子の油彩画をお買取りいたします。
写真のお品物は、以前いわの美術でお買取りいたしました、三岸節子の肉筆油彩の静物画です。生涯にわたり女流画壇の地位向上にも邁進した三岸節子は、波瀾の生涯をおくりながら逆境に負けず多くの作品を残し、制作時期により個性豊かな作風で、鮮烈な画才を発揮しています。
三岸節子について
三岸節子は1905年に愛知県で尾張物工場を営む裕福な家庭に生まれました。母の菊は鵜飼吉右衛門の一族という名家の血筋でした。
しかし女学校生徒であった15歳の時、不況のあおりで実家が倒産してしまい、この頃絵に関心の高かった節子は両親の反対を押し切り上京し絵の道に入ります。
1921年から本郷美術学校にて岡田三郎助に師事し、1924年に女子美術学校を卒業する時は主席と早くから頭角を現しながら、在学中に出会った画家の三岸好太郎と19歳で結婚しました。
第一子誕生と私生活の変化がありながらも制作も精力的に行い、春陽会に「自画像」など4点を初出品すると女性として初めて入選し華々しい画壇デビューを果たしました。
しかし、夫は自由奔放で家庭生活には向かず3人の幼子と家を守りながら合間を縫って必死に制作を続ける大変な時期を送っていましたが、29歳の時に夫好太郎が急死します。
急死の電報を受けた節子の胸中は、悲しみや先行きの不安よりもこれで絵を描いて生きていけるという安堵感が強かったと後に語りましたが、わずか10年の結婚生活で31歳で夭逝した好太郎はその後も節子の人生に影響を与え続けます。
好太郎が亡くなる前にデザインし友人の建築家・山脇巌に設計を依頼したアトリエは、現在も中野区に残され文化遺産となっています。
ドイツに留学しバウハウスで学んだ山脇の戦前モダニズム建築のアトリエは、好太郎急死の3か月後に完成し、翌月には三岸好太郎遺作展を開催しました。
その後20年あまり節子と子供たちの生活の場兼アトリエとなり、ここで自由に画面を構成した静物画を多く残しています。
夫の死から数年が経ったころ、節子は欧州帰りの画家、菅野圭介と第2の大恋愛をします。
この頃時代は第二次世界大戦に入り、戦禍により割れてしまったアトリエ住宅の大きな窓を画布でふさぐ厳しい日々を送りました。
終戦後、家の修繕と増改築も済み再び穏やかな暮らしのなかで、菅野圭介と別居結婚に歩を進めるものの、女流画家協会の発足に尽力し画業以外にも多忙を極めていたことなどから、5年で終止符を打ちます。
別離の傷心もあり、かねてから望んでいたフランスへ1954年に初めて旅立ち、亡き夫の夢でもあったパリでの1年半あまりの滞在中に日本と異なる気候風土の風景・原始美術などから多くの影響を受けます。
帰国後は子供たちも独立し、単身軽井沢の山荘にて作品制作に没頭し、その後大磯に転居して制作に邁進します。作風に様々な変化が起こる時期となり、庭の手入れなど自然に囲まれる生活の中から太陽賛歌シリーズなど目の覚めるような原色使いの作風が生まれます。
節子は好太郎の死後から戦後までの長い間、離散した遺作を時には自作と引き換えて蒐集し続け、1967年に好太郎の故郷である札幌に寄贈し三岸好太郎美術館の設立に寄与します。この大事が済んだのち、1968年に再び移住という形で渡仏しました。
渡仏後5年がたつ頃帰国を考えたもののパリでの個展が好評であったことから、さらに滞在を決意し、南仏を拠点としながらイタリア・スペインにも旅をし、旺盛に制作を続けます。
日本でも三岸節子の功績が形となり始め、1986年81歳の時に勲三等宝冠章を受章し、83歳で故郷の尾西市(現一宮市)名誉市民となりました。20年をフランスで過ごし日本へ帰国した時には84歳となっていました。
帰国後の最晩年は温暖な神奈川県大磯で過ごし、89歳の時に女性洋画家として初めて文化功労者となります。各地で展覧会を開催しながら亡くなる直前まで絵筆をとり続け、94歳で逝去した時も手には絵の具がついたままでした。
三岸節子の油彩画をお買取りいたします。
三岸節子は深い教養と創作への情熱をもち、並みのエネルギーでは成し得ない激動の人生を歩みました。
子育てと両立しながらの画業であった前半の作品は、室内で描かれた静物画が多く、秀逸な色彩センスと大胆な画面構成で、限りある制作環境からあふれ出る熱情が現れているようです。初めの渡仏から乾いたような色彩、原色や鮮やかな色彩が特徴的となり、2度目の渡仏である移住後からは
さらに顕著となります。
写真のお買取りしました「静物」も渡仏後の作風であり、青・赤・黄が効果的に配され、迷いなく筆を運ぶ力強い筆致が節子らしいといえる作品です。
三岸節子の作品は今後も受け継がれるべき文化遺産であり、ご売却の際は高値でのお買取りが期待できます。
ご実家のお片付けや遺品整理、蔵や生前のコレクションの整理などで、三岸節子の作品が見つかり手放されるご予定がありましたら、ぜひ、いわの美術へご一報くださいませ。
お買取り査定の受付はお電話のほかメール・LINEでも承っております。絵画作品の場合はお写真を添付いただきますと、ネットでの無料見積もりも可能となります。お客様からのご連絡を心よりお待ちしております。
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