彼末宏は昭和後期～平成時代に活躍した洋画家で、陸軍士官学校で学んだ経験を持っており、画家になろうと東京美術学校油絵科の入学試験を受けましたが、教授の梅原龍三郎に「陸士にいたものがなぜ美術学校を受けるのか」と聞かれ、「小さい頃から美術が好きであったから」と回答したものの、不合格となり、翌年も同じ答えで面接を受け、見事合格を果たしました。
梅原龍三郎教室の最後の生徒として梅原龍三郎を師と仰ぎ、卒業制作の自画像は単純に自画像を描くだけではく、額の中に自分の自画像があるような不思議な構図で描いており、よく見ると複数の人物が描かれているなど、だまし絵の要素がみられる作品である事が分かっています。
彼末宏の作品は何を描いているのか分からない作品が多く、そのほとんどが人物や動物などが隠されており、角度を変えてみる事で新たな発見が出来るものが多いのも特徴です。
昭和20年代半ばから30年代半ばにかけて多く用いられたモチーフはサーカスの芸人などジャガールやクレーを思わせる作風が多く、まだ自信の作風を確立していない段階でした。
昭和40年代中ごろになると黒を基調とした作風に大きく変化し、彼末宏の作風を確立しています。
黒を多用しているのに暗く重たい雰囲気をまとっているわけでもなく、不思議と透明感のある作品が彼末宏の特徴ともいえます。
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彼末宏の作品には「H.KANOSUE」というサインが記されていますが、作品によってはこのサインが作品と調和して分かりにくい場合もございます。
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