靉光はその作品世界の中で「日本のシュルレアリスム」の先駆・前衛、と呼ばれるような強い個性をうちたてました。
2007年に東京国立近代美術館にて靉光生誕100周年を記念して開かれた回顧展「生誕100年 靉光展」は、
いまだ記憶に鮮明な方もおられるのではないでしょうか？
靉光は作品のモティーフにするための独自の蒐集をこよなく愛しました。靉光の素描の特徴は、
参考写真の作品はたいへん緻密に、花や虫、鳥の骨といった小さなモチーフを集中して観察したということが一目で分かる、強烈な描写密度と熱量ある描画です。
靉光の油彩画は幾度も絵具を重ねたり削ったりしており、靉光の素描と油彩のの双方は、
印刷での再現が追いつかないというほどに濃縮された画世界として私たちの前に語りかけます。
それは、絵さえかければ良く、作風を何度変えても飽き足らず、苦悩の中で未踏の視覚を模索した靉光の生き方そのものが遺されたようだ、と言い表せましょう。
靉光の作品の特徴
靉光はその作品世界の中で「日本のシュルレアリスム」の先駆・前衛、と呼ばれるような強い個性をうちたてました。
何度も作風を変え、破棄し、故郷の広島に預けていた作品は原爆によって焼失したことにより、現存する靉光の作品は大変少なくなっています。
