江戸時代頃に確立したとされる絵で、
別名「錦絵」とも呼ばれています。
浮世絵は木版画が有名ですが、
巻物などに手描きで描かれた肉筆浮世絵も種類のひとつです。
江戸時代以前は、辛く儚い世の中という意味を込めて
「憂世」と書かれていましたが
江戸時代に入り、戦乱の世から平和な世になると
人々の心が次第に晴れ「浮世」と書かれるようになりました。
また、「浮世」という言葉は現代風という意味があり
当時の人々の日常を描く風物が多く制作されました。
手描きである「肉筆浮世絵」は安土桃山時代頃から描かれ始め、
大まかに屏風絵・絵巻・画帖・掛け物・扇絵・絵馬・画稿・版下絵の
八種類に分類されています。
絵師による手描きで、ひとつひとつ丁寧に描かれるために高価で
町人などの一般大衆よりも富裕層から需要がありました。
江戸時代に入り町人の経済力が上がると
富裕層の文化である「肉筆浮世絵」に対し、
一般大衆の生活を題材とした「浮世絵」が誕生しました。
その後、木版の技術が発達すると量産が可能になり
「美人画」「役者絵」「風景画」などを中心に
江戸時代後期から明治時代初期にかけて、
浮世絵は一般大衆の間で大いに繁栄しました。
そして、1880年代から1890年代には
ヨーロッパを中心に巻き起こった「ジャポニズム」ブームで
浮世絵の芸術価値が世界中で高く評価され、
ゴッホなどの印象派の人々に大きな影響を与えました。