室町時代から江戸時代に刊行された400編以上ある短編集です。
美しい彩色の挿絵が特徴で絵を楽しむ要素が強く、名もない庶民が主人公になったり、動物を擬人化するなど架空の物語が多く、庶民が楽しめるものとなっています。
全部で400編超が存在するといわれ、そのうち世に知られているのは100編強だといわれています。
現在では研究が進み、その数は少しずつ増えていますが、物語のほとんどは作者が分っていません。
「お伽草子」「おとぎ草子」とも表記され、主に室町時代に栄えたことから「室町物語」とも呼ばれています。
また「お伽草子」の名で呼ばれるようになったのは享保年間の頃で、渋川清右衛門が「御伽文庫」「御伽草子」として23編を刊行してからこう呼ばれるようになりました。
しかし、刊行される以前にまったく同型・同文の本が刊行されており、渋川版はこれを元にした後印本でした。
このことから「御伽草紙(子)」は23種の物語草紙を指し、物語草紙全体は「お伽草紙(子)」と表記されるのが一般的となりました。