江戸時代に著書された杉田玄白の懐古録で、上下2編です。
日本蘭学の先駆者であった「杉田玄白」は
自身の死後に蘭学の史実が正しく伝わるように
自らの記憶を書に記すことを決めました。
その書を「蘭東事始」と名付け、
自身の高弟である「大槻玄沢」へと贈りました。
時が経つと原本が紛失してしまい、
江戸時代には写しのみが伝わっていましたが
いつの間にか写しさえも行方不明となってしまいました。
しかし、江戸時代末期に神田孝平が偶然に露店で発見し、
福沢諭吉を中心とした有志一同が「蘭学事始」という題名で
1869年に刊行しました。
戦国時代末期の西洋との関わりや蘭方医学の発祥、
蘭語研究や当時活躍した蘭学者などが記された蘭学事始は
日本中で広く読まれるようになりました。
現在でも史料として非常に貴重価値の高い書と言われています。