元禄8年に慶長大判に次いで発行された大判です。
江戸の大火や江戸城修復に出費がかさんでしまった幕府が改鋳にふみきった事で鋳造されたものです。
そのため、これまでに発行されたものよりも品位を下げて江戸本郷霊雲寺近くの大根畑に建てられた吹所で鋳造されました。
表面は「拾両後藤」の花押と墨書きされ、後藤十代廉乗および十一代通乗の書となっているのが特徴です。
上下左右に丸枠桐極印がそれぞれ一箇所ずつ計四箇所打たれ、形状は角ばった楕円形となっています。
裏面には「元」の年代印が打たれているのですが、品位が低下された小判および丁銀にしばしばこの年代印が見られるのに対し、大判としてはこの元禄大判の年代印が唯一のものとなっています。
発行された枚数は江戸時代の大判の中でも多いほうなのですが、品位が低かったため鋳潰されたものが多く、現存する数が非常に少ないのでコレクターの間では二千万前後の評価額で取引されています。
そのため偽物も多く出回っており、墨がほぼ完璧に残っていたり、とても綺麗な状態で残っているのは不自然とされ、そのほとんどが偽物と判断できます。
元禄大判だけに限った事ではありませんが、大判の墨書きが100%残っているものは非常に稀とされ、仮にあったとしたならば、想像以上の価値が付けられます。