熊本県出身の日本画家です。
キリシタンの伝統と信仰の姿を描く「天草シリーズ」をはじめ、近年では富士山を題材とした作品も手掛けており、幻想的で独特の心安らぐ画風が高く評価されています。
そのため、院展での数多くの受賞や、内閣総理大臣賞の受賞など輝かしい功績を残しています。
幼少期を満州で過ごし、帰国してからは山形県で暮らしていました。
中学生の頃に画家を志す事を決意し、はじめは洋画の制作に励んでいました。
東京藝術大学に入学してからは日本画を専攻し、卒業後は前田青邨に師事し、前田青邨最後の弟子として画技を磨いていきます。
魚や魚網を題材にした漁民の生活風景を描出した作品を発表するようになり、院展で活躍を見せます。
取材のため、天草津漁港を訪れた際、釣り糸で下げられた十字架を首にしていた漁夫に出合い、「あなたは、教会へ行くのですか?」と訪ねたのをきっかけに、キリシタンを題材にした作品を手掛けるようになります。
そこには江戸時代にキリスト教を信仰する事を禁止とされ、それでも表向きは仏教徒として振る舞う事を余儀なくされた「隠れキリシタン」という人々の思いなどを日本画として表わしていかなければという思いが絵筆を走らせています。
また、幼少期を満州で過ごし終戦後の厳しい経験と日本人の生活を記録として画面に残す必要性を感じ、描いた作品も存在します。
小山硬の幻想的で独特の心安らぐ画風はこういった思いから生み出されるもので、日本画を通じて、現在の人々の心に訴えかける作品を描き続けています。