20世紀に活躍したアメリカの画家で、アメリカでは国民的画家として知られています。
日本においても度々展覧会が開催されており、知名度も高く人気もあります。
ワイエスは挿絵画家であった父親から、そこにあるものを正確に描写するよう指導され、見えなくても存在するかのように描けるよう徹底的に絵画技法を教えました。
幼い頃から心身ともに虚弱であったワイエスは学校での教育をほとんど受ける事はなく、家庭教師から読み書きを学び、自宅と別荘以外の場所へは行った事がほとんどありませんでした。
そのため、彼の作品のほとんどがこの2つの場所の風景とそこで暮らす人たちが題材として選ばれています。
中でも代表作「クリスティーナの世界」に登場するクリスティーナは別荘の近くに住んでいたオルソン家の女性で、クリスティーナはポリオ(小児麻痺)によって足が不自由で、そんな体なのに何もかも自分の力でやってのける生命力に感動し、出会ってから彼女が亡くなるまで30年にもわたって描き続けました
また「ヘルガ」というシリーズも自宅近くの農場で働いていた女性を描いたもので、彼女は特別美人というわけでも若いわけでもありませんでしたが、妻やヘルガの夫に内緒で15年にもわたり240点あまりの作品を残しています。
その作品はヌードの作品も含まれており、妻に内緒にしていたのは以前ワイエスが異性のヌードを描いた際、妻から「次は私に見えないところでやって」と言われたためだと説明しています。
この他にもシリという少女や農場主カーナー夫妻をモデルにした作品も数多く残しており、同一の対象を繰り返し描く理由は作品に精神的深さを盛り込むためにはどうしたらいいのか模索を続けていたからでした。