大阪府出身の洋画家で、本名は朝井實といいます。
戦前は官展、光風会展で活躍していた事でも知られ、油彩を塗り重ね、色彩豊かな独創的な作風を展開し、つねに画壇の第一線で活躍していましたが、画集の出版もなく、個展もほとんど開催しなかった特異な作家として知られています。
そんな朝井閑右衛門ですが、はじめは広島の商業学校に進学していましたが、画家を志すようになると上京し、法政大学で学ぶ一方、独学で洋画を習得していきました。
第13回二科展で初入選を果たすと、以後官展や光風会展に出品を重ね、活躍の場とします。
また、500号の大作である「丘の上」は文部大臣賞を受賞しており、幻想的な雰囲気漂う作品として多くの人々を魅了しました。
戦時中は軍報道部の委嘱画家として戦地に赴き、記録画を担当していた事もあり、蘇州や上海の風景画も残しています。
戦後は光風会を脱会して須田刻太らとともに新樹会を結成し、神奈川県横須賀市や鎌倉を拠点として多くの文化人と交流し、独特の幻想的な世界観を築き、制作活動を続けていました。