青森県出身の昭和時代~平成時代に活躍した日本画家です。
自然の昆虫や小動物、植物の葉などを繊細な描線で描き、その周りを群青などの単色の岩絵具で色面を大きく取り、装飾的に感じるような構図が特徴で、幻想的な作風で知られています。
写実的で精巧な描写で描かれた作品は、淡く幽玄的な雰囲気を持つ色使いによって見る者を魅了しています。
そんな工藤甲人の作品ですが、神奈川県庁に飾られていた作品が盗まれてしまう被害に遭っており、これも不思議な雰囲気に魅了された者の仕業なのかもしれません。
工藤甲人の本名は儀助といい、本格的に画家になるべく上京し、川端画学校で日本画を学びます。
福田富四郎に師事すると更に日本画家としての技術を磨き、数々の受賞を重ねるようになります。
日本画壇での活躍は賞を受賞するだけではありませんでした。
新しい日本画の創造を目指す活動に共感した事で、心象イメージを絵画世界に表すために自らの作風を最初に述べた幻想的、幽玄的な作風へと築き上げていきます。
また、東京藝術大学に沖縄県立芸術大学など著名な大学で教鞭をふるい、後進の指導にも尽力していました。
95歳という長寿を全うした工藤甲人は、亡くなる直前まで精力的に日本画家として活動しており、多くの作品を残しました。