静岡県出身の昭和時代に活躍した日本の洋画家です。
光と影の華麗な画風で知られ、美の象徴として数多く描かれた豪華なドレス姿の女性像を得意とし、画面の奥からスポットライトのように人物を照らし出す逆光を多く用いた作風は多くの女性像を輝かせ、魅力ある作品に仕上げています。
画家として活躍する一方でグラフィックデザイナーとしても活躍しており、小田急電鉄や全日本空輸のポスター、童画、週刊漫画TIMESなどの表紙画、挿絵を手掛けています。
中でも有名なのは、ぺんてるくれよんのパッケージデザインで、現在も変わらず使われており、この他にも小田急ロマンスカー3000形SEのカラーリングの依頼を受け、考案した配色はロマンスカーのシンボルカラーとして定着し、現在でも鉄道ファンの心を掴んでいます。
高校を卒業した宮永岳彦は松坂屋百貨店に就職しており、この時は画家を志していたわけではありませんでした。
宣伝部に配属された宮永岳彦は企業や刊行ポスターなど数多くの商業デザインを手がけ、一躍脚光を浴びます。
そんな宮永岳彦が画家として創作活動を始めるようになり、二紀会創立展に出品すると、褒賞、同人努力賞、菊花賞など次々と受賞を重ねていきました。
第二次世界大戦では徴兵され辛い経験を持っていますが、作品は決して暗い画面に仕上げる事はなく、鮮やかな色を使い分け、凛々しい女性像を多く手掛けました。
また、皇太子(今上天皇・明仁親王)および皇太子妃(現・皇后)の肖像画『皇太子・同妃両殿下御肖像画』を制作しており、この作品は明治以降で宮内庁の正式な許可を得て天皇家を描いた唯一の作品といわれています。