朝鮮で生まれた森本草介は昭和~平成時代で活躍された日本の洋画家です。
写真を超えた写実絵画で知られており、特定のモデルを使って描いた女性像、裸婦像は息を呑むほど美しく、一目で心を奪われてしまう魅力を携えています。
また、静物画、風景画も写真のように精密な画法で描いており、写実絵画家としてその地位を確立しています。
森本草介作品の最大の収集者は千葉県千葉市のホキ美術館で、同館には同じ写実絵画で有名な野田弘志、島村信之、五味文彦などの作品も収蔵されています。
画家・森本仁平の長男として朝鮮で生まれた森本草介は、大東亜戦争中に日本に戻ってきましたが、再度朝鮮に戻り、日本が敗戦した事で逃避行を強いられ日本に戻りました。
画家を志して東京藝術大学絵画科油画専攻に入学すると在学中に安宅賞を受賞するなど画家としての頭角を現します。
大学を卒業すると東京藝術大学の助手をつとめていましたが、国画会展で受賞をした事をきっかけに画業に専念するために助手を辞め、十騎会の結成に加わりました。
森本草介が画家としてスタートした当時は日本の美術界は抽象画の波が強く、その影響を受けた森本草介は一日中画面の中で格闘しても数年間一点も仕上げる事ができない時期がありました。
自分の中の迷いが作品を制作できない原因だと気付いた森本草介は、自分の持つ資質と能力をいかせる「写実絵画」の道を選び、女性画の特定のモデルを見つけた事で自分のイメージを膨らませた作品を展開していきました。
森本草介が作品を制作する上で気にかけている事は、人物画については血が流れて生きているように、風景画は大自然を感じさせるようにと思って描いている事です。
ちなみに森本草介が起用するモデルは、気に入った人を見つけると妻がモデルの交渉を行い、自分のイメージを投影できる人物がモデルとして起用されているようです。