京都府出身の昭和後期~平成時代に活躍する日本画家です。
琵琶湖の自然、それも湖北を中心に描くことをライフワークとして続けており、過去の名作を自分なりの目で捉える研究をしながら制作を続けている事で知られています。
琵琶湖の湖北にこだわる理由としては、母親の出身が滋賀県で、小さい頃から魚釣りやカニを捕まえるなどして遊んだ記憶から心の中に原風景が残っており、湖北特有の自然の息吹を描きたいとモチーフに選んだそうです。
湖北の風景以外にも富士の風景にも定評があり、人気作として知られています。
幼い頃から絵を描く事が好きだった中路融人は本名を勝博といい、酒屋を経営する家庭に生まれました。
京都市立美術工芸学校卒業後は画業だけでは生活が成り立たないと考え、デザイン(テキスタイル)の仕事をこなしながら夜の2、3時間をひたすら絵の勉強に費やすなど努力を重ねてきた中路融人でしたが、いずれは父親が経営している酒屋を継がなければならない事に悩んでいました。
その気持ちを察した父親は友禅の絵師へのアプローチをしてくれたのですが、この世界に入るには日本画の基礎が必要だったため、日本画の勉強を始める事にしました。
学生時代の恩師たちが晨鳥社に所属していた事もあり、山口華陽の晨鳥社に入塾して日本画を学べる環境に嬉しさを覚え日々研鑽に励みました。
こうして晨鳥社では動物画にチャレンジし、日展での活躍が目立つようになると日展を中心に作品を発表するようになり、数々の賞を受賞する日本を代表する日本画家へと成長します。
現在は日本芸術院会員、晨鳥社の会長として後進の指導に積極的に取り組んでいます。