今回、いわの美術がお買取したお品物は象牙でできた根付で、桃を持つ仙人の姿が彫られたものです。
仙人が手に抱えているのは桃で、中国では桃は霊力の宿る実とされており、仙人になるためには霊力の宿った桃を食べる事とされており、食べれば不老不死を得られるとも伝えられています。
そのため、桃の林の奥にある桃源郷は仙人の住まう地とされ、これら全ては陶淵明の作品『桃花源記』から誕生した伝説的な話で、現実に存在するわけではありません。
この象牙の根付の作者は、江戸時代に活躍した廣葉軒吉友(こうようけんよしとも)の作品という事が根付に記されている「吉友」刻印から分かりました。
廣葉軒吉友は廣葉軒吉長(こうようけんよしなが)の一番弟子として知られており、廣葉軒吉長は『装剣奇賞』にも掲載されている根付師で、友忠や岡友と並ぶ京都派の三大開祖の一人として知られています。
廣葉軒吉友の師である廣葉軒吉長は人物をよく彫り、特に仙人や鍾馗を多く彫った事で知られており、廣葉軒吉長が制作した張果老仙人はニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されています。
そのため弟子である廣葉軒吉友も仙人をよく彫っており、時には師である廣葉軒吉長の作品を凌ぐほどの素晴らしい作品を残しています。
今回、お買取した象牙の根付もどこから見ても手の抜いた仕事をしておらず、縦2cm、横4cm、高さ7cmという小さな作品にも関わらず、細かい部分までしっかりと彫り込まれていました。
また、象牙という素材という事も高く評価でき、時間経過で飴色に光る姿は趣きを感じ、作品と相まって更なる魅力を引き出しています。
廣葉軒吉友の根付という事、目立つヒビ、欠け、汚れなどもなく保存状態が良かった事が高価買取に繋がりました。
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