今回、いわの美術がお買取したお品物はボンボニエールです。
ボンボニエールとはフランス語で砂糖菓子(ボンボン菓子)を入れる容器の事を言い、ヨーロッパでは子供の誕生祝い、結婚祝いなどの慶事に際して砂糖菓子が贈られる事が多く、この砂糖菓子を入れたボンボニエールとともに記念品として使われています。
日本でも、近代以後の宮中晩餐会では金平糖を納め、細工を施したボンボニエールが記念品として配布されるのがいつの頃から習わしとなり、見事な細工を施されたボンボニエールが150種類近くも作られています。
また、ボンボニエール以外ですと花瓶や盃、五重箱、茶釜などの下賜品も送られています。
もともと日本でも慶事の引き出物として菓子器が存在していましたが、明治以降に西洋の文化が取り入れられるようになり、「ボンボニエール」と称され、使用されるようになりましたが、宮中行事の中に定着する過程ははっきりと記録に残っていないそうです。
はじめて、記録として残っているのは、明治27年の明治天皇と昭憲皇太后の銀婚式にあたる大婚25年晩餐会の引き出物として使用された銀製の菓子器でしたが、まだこの時点では「ボンボニエール」とは呼ばれていませんでした。
公式記録として「ボンボニエール」と記載されていたのが、昭和3年の昭和天皇即位大礼の宴会に際して配布されたものでした。
今回、お買取したボンボニエールは大正4年に京都御所で執り行われた大正天皇即位式で配布されたボンボニエールで、「八稜鏡形鳳凰文ボンボ二エール」と呼ばれています。
デザインは、唐鏡のひとつで、円鏡の周囲を八枚の花弁状に縁どった八稜鏡を模っており、鏡中央の鈕に相当する部分に金の菊紋を配し、瓔珞をくわえて向かい合う一対の鳳凰と瑞雲を表しています。
箱底面には格挟間を設けた台を取り付け、いっそう格式高いものにしているのも、このボンボニエールの特徴です。
お買取したものは、黒くくすんでいましたが、綺麗な状態であれば光り輝くほど美しい姿をしています。
もちろん、綺麗な方が買取額は高くなりますが、宮中行事の中で配布されるボンボニエールは大変貴重なお品物でコレクターも多いため、高価買取で対応させて頂きました。
いわの美術では、皇帝や宮家から贈られる下賜品の盃や花瓶、茶釜、ボンボニエールの買取を強化しております。
多くのお品物が銀製になりますので、仕舞いっぱなしにしてサビだらけになる前に査定に出しましょう。