今回、いわの美術がお買取りしたお品物は武蔵國水心子藤原良明の小刀(切り出しナイフ)です。
武蔵國水心子藤原良明は本名を加藤真平といい、初代・良明(加藤兼国)の三男として生まれました。
加藤真平には2人の兄がいましたが、どちらも父親の跡を継がず、別の道に進み、加藤真平が堀井胤明、父親の加藤兼国、伯父の加藤真国に学び、刀匠となり、数々の賞を受賞し、後に2代目継ぐようになります。
加藤真平の鍛えた「良明」銘の切り出し作品は大工道具愛好家の間でも広く知られており、高い評価を受けており、中古市場でも高値で取引されており、高価買取が期待できる刀匠です。
2代・良明となってからは刀匠銘を実名の「加藤真平」や「加藤長左衛門真平」と名乗り、包丁・切り出し・鉈などの打刃物を制作しており、玉鋼以外で鍛つ時は本号の「真平」でなく、「良明」銘で制作しています。
その中でも出来の良い上等な作品になればなるほど文字の多い銘を切っており、それは「良明」から「武蔵国水心子藤原良明」までとなっており、今回お買取りした小刀は「武蔵国水心子藤原良明」でしたので、加藤真平の鍛えたものの中では上等な作品という事が分かります。
昭和甲子年五月と刻まれており、十干十二支(じっかんじゅうにし)の呼び方で、60年で一巡するようになっており、昭和59年に制作されたものというのが分かります。
現在、息子の加藤清志が3代目を継ぎ、「良明」銘を切っていますが、襲名したのが平成12年ですので、今回お買取りした作品は2代目である加藤真平の作品という事になります。
お買取りした小刀は錆びなどもまったくなく、良い状態で保管されていましたので、高価買取とさせて頂きました。