今回、いわの美術がお買取したお品物は白磁透かし彫り香炉で、15代中里茂右衛門(なかざともえもん)の作品です。
中里茂右衛門は江戸時代から続く平戸焼の窯元で、当代は15代となっております。
15代中里茂右衛門は本名を辻田輝幸といい、精緻な白磁の香炉などを焼き続けています。
白磁透かし彫りの第一人者として高い評価を受けており、微細な針状の道具を使い、素地が乾いてしまう前に花や葉をミリ単位で彫り出す作品を制作しています。
15代中里茂右衛門が「神業」と言われる所以は、「二重透かし彫り」という独自の技術を用いる他、籠目透かしぼりでは六角形の穴と穴の間のわずかなスペースに数ミリの三角形の穴も正確に彫るところです。
15代中里茂右衛門は少年の頃から白磁を手掛けており、50年以上の大ベテランです。
透かし彫りの技術は父親である14代から習ったものでした。
2001年にはルーヴル美術館の東洋部門である国立ギメ美術館に作品が収蔵されており、日本国内のみならず、海外でも高い評価を受けています。
お買取りした白磁透かし彫り香炉は、どの角度から見ても一切手を抜いていない仕事ぶりが伺えるほど精緻な造りをしており、籠目透かし彫りを施した上にちょこんと乗る獅子がアクセントになっているお品物でした。
とても繊細で、取扱いには十分注意が必要なお品物でしたが、一部ヒビが入っている部分があり、その分はマイナス評価となってしまいました。
また、作品を収納する共箱付でしたら、高い評価での買取が可能でした。
共箱は、邪魔だからと処分してしまう方も多いのですが、売却する際、共箱の有無は買取額に大きく影響してきますので、できるだけ処分せずに保管しておく事をお勧め致します。