美術品買取を行ういわの美術では、年間多くのブロンズ像の買取のお取扱実績がございます。
今回、お買取したブロンズ像は、フランスの彫刻家Antoine-Louis Barye(アントワーヌ・ルイ・バリー)のTiger Huntと題された虎狩りの様子を表現した作品です。
主に19世紀に、動物をリアルに描写する技術を持った人物として、有名になった芸術家の一群を指してanimalier(アニマリエ)という言葉がありますが、アントワーヌ・ルイ・バリーは、フランスで最も有名なアニマリエの彫刻家で、リュードやプレオーとともにロマン主義彫刻を代表する作家として知られています。
パリの金銀細工師を父に持つアントワーヌ・ルイ・バリーは、版画工房で見習いを始めたのち、金銀細工師の工房に入り、溶鉱から彫金技術まで一通りの技術を習得し、この時代の厳しい修行を通して、独自の緻密な線描と、巧妙なデッサンを穫得したといわれています。
また、バリーは植物園に通い、生きた動物の観察を通してその姿勢や動作を研究するとともに、解剖学の講義にも頻繁に出席し、小さな動物像を制作し始めました。
動物解剖学にも精通したバリーは、大胆な簡潔表現によって、伝統に縛られない独自の手法を作り出しましたが、劇的さをもって動物像を生み出そうとしたバリーの彫刻作品は、公的機関から激しい批判にさらされ、バリーは挫折と失望を味わいました。
しかし、オルレアン公をはじめ裕福な愛好家からは、バリーのアカデミズムから離れた技法は高く評価され、次第にそのブロンズ製の動物彫刻作品は、世間で広く認められることになりました。
今回お買取したアントワーヌ・ルイ・バリーのTiger Huntも、解剖学に通じた精緻な表現力が集約されたような精巧で力強い作品です。
サイズは、 縦29×横75×高さ61.5センチ、重さ58kg程と大きく、筋肉や顔の表情、質感などが非常に良く表現された重厚な作品です。Baryeと彫られたサインも確認でき、好評価にてお買取を行いました。