今回いわの美術でお買取りしたこちらの作品はガラス工芸作家の黒木国昭による花入れです。
黒木作品は、どれも日本の風土が生み出した伝統文化に深く根ざしていると言われます。日本の伝統美というと、茶の湯にみられるような「わび」「さび」といった閑雅な美を思い描きがちですが、黒木の作品群は「自然の色を重視した配色」や「穏やかで優しい形状」さらに「伝統的な文様の単純化」が印象的で、「綺麗さび」ともいえる独特の技術と感性で 人々の意表を突くことで知られています。
ガラス工芸作家の誕生から独立まで
黒木国昭は1945年宮崎県生まれ。幼いころから絵を描くことが好きだった黒木は、高校時代に指導を受けた先生の勧めもあり`63年墨田区向島の山谷硝子に入社します。ガラス会社への就職は、工場の暑さや作業は常に火傷の危険と隣り合わせといった厳しい条件が知られていました。同時期に就職した仲間たちが次々と辞めていく中、黒木は「灼熱のガラスが水飴のように窯から流れ落ち、空気に触れると一瞬にして固まる。その流動感や躍動感はまるで光の中のダイヤモンドのような輝き」とガラスの特性に魅せられ、素材に自分の意志を込めたいと強く思うようになります。
黒木は日中の仕事を終えた後、夜間はデザインの勉強と彫刻スタジオに通って立体造形の学習を続け、ガラス技能の習得に向け日夜懸命の努力を積み重ねていきました。
そうした日々の地道な努力により、黒木は1972年頃から創作活動を開始します。`77年には労働大臣認定ガラス技能検定1級を取得し、展覧会において作品が受賞するなど、徐々にガラス造形作家の歩みを確立させ、ついには`84年に22年間在籍した山谷硝子を退職してガラス作家として次なる飛躍に備えます。
世界が認めるガラス作家
1989年には自らの工房「綾工房」を開き、活動の場を国内のみならず海外へ広げ、さらに精力的な創作を続けます。
`91年に国の卓越技能者「現代の名工」を受賞。`93年当時の皇太子殿下・雅子妃殿下御成婚記念として黒木作品の代名詞ともいえる『光琳』を創作献上、2004年には天皇陛下が工房を御視察されました。
国際舞台においても、‘95年パリ平和芸術大賞、`98年ギリシャアートエキスボにて最高賞、`99年バンコクにてアジア芸術栄華勲章受章など、数多くの輝かしい功績を残しています。
また、`97年には、フランスを代表するガラス工芸家エミール・ガレの「おだまき文様花器」復刻をNHKとサントリー美術館が共催企画した際には「今日では殆ど不可能とさえ思えるガレの難易度の高い作品」の再現を可能とする作家は他にいないとスタッフが即決、すぐさま黒木のいる宮崎に飛んだ、というエピソードもあり、匠の技に多くの注目が集まりました。
綾工房から世界へ
2015年に古希を迎えた黒木の制作の拠点である綾工房には今日も全国からガラス作家をめざして若者が集まり、黒木の指導のもとでガラス制作に取り組んでいます。
「綾工房を日本一、世界一にしたい」と語る黒木のあくなきガラスへの探求は今もなお続けられ、日本の伝統を活かした作品の誕生にこれからも期待が集まります。
いわの美術のお買取り
割れや欠けなどのダメージが出やすく個人での保管が難しいガラス作品をお持ちではないですか?黒木国昭は国内外で幅広く人気があり、なかでも特に「光琳」シリーズは市場でも需要が高く高値で取引されるケースがございます。
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お問い合わせは電話・メール・LINEにて承っております。
また、今回ご紹介させていただいた黒木国昭の他にも、前述の海外作家エミール・ガレやドーム・ナンシーなど他多数の作家による作品を幅広く探しております。
皆様のご依頼をスタッフ一同お待ちしております。