今回は、面打の大家、長澤氏春(物故)作の稀少な乙面の能面をお買取致しました。
能楽は、能面を身につけて行う、一種の仮面劇です。日本最古の芸能として、幽玄美を現代に伝えられている大変希有な文化です。
その能楽の源流は、10世紀あたりの田楽、猿楽といわれており、今日のような能面が完成したのは、室町中期から末期にかけてと考えられています。
能面の基本型は、約60種、今日では、200種類以上あるといわれていますが、その主な分類としては、翁、尉、女面、男面、鬼神、怨霊があります。
今回お買取の長澤氏春の能面は、面箱に記されているように女面の「乙面」です。
乙面は、いわゆる「お亀(おかめ)」であり、丸顔、鼻が低く、額は広く、頬が丸く豊かに張り出てているというような特徴をもつ女性の仮面で、お多福、乙御前ともいいます。素顔を原則とする狂言で「乙」は醜女に当たります。
乙面にも様々ありますが、今回お買取した長澤氏春の乙面は、福々しい表情で、観ている側もお目出度い気持ちになれるような作品です。
面打師として国指定重要無形文化財(人間国宝)保持者の長澤氏春は、能面の中でも最も難しいとされる女面を得意とし、その表情や彩色は当代随一と高く評されました。
能面には作者名を示す焼印が入れられるのが通例ですが、お買取した長澤氏春の能面の裏面にも長澤氏春の印が確認でき、箱書き・落款付の面箱とともに、高価買取させていただきました。
いわの美術では長澤氏春の能面をはじめ、古い時代の能面も買取しております。
歴史的価値のある古い時代の能面を、高価買取させて頂きますので、蔵の片づけや遺品整理などで、ご処分をお考えの能面などございましたら、是非ご連絡ください。和楽器・能装束や歌舞伎衣装などもお買取しております。