今回いわの美術がお買取致しましたのは、Steuben(スチューベン)のガラスオブジェです。
スチューベンは1903年、英国人のガラス職人とガラス彫刻会社社長により、アメリカのニューヨークに創立されたガラス器ブランドです。
スチューベンは、1937年のパリ万博で金賞を受賞し、画家アンリ・マチスがその作品に注目したことをきっかけに、ジャン・コクトーやサルバドール・ダリ、イサム・ノグチなど名立たる芸術家達が、そのガラス工芸の原画を手がけることとなり、世界的なブランドへと成長しました。
スチューベンのクリスタルガラスは、トルーマン大統領が英国エリザベス女王の御成婚祝いに贈答して以来、米国大統領からの公式贈呈品としても用いられてきました。
スチューベンガラスの代名詞ともいえる無色透明のクリスタルガラスは、耐熱ガラスメーカーであるコーニング社の傘下となってから製作され、この頃に高品質な鉛クリスタルガラスに大胆な彫刻を施すというスチューベンのスタイルが確立されたといわれています。
輝かしい経歴を有するスチューベンですが、2011年にはその歴史に幕を閉じ、現在はコーニングガラス美術館が限定生産・販売を発表しているのみとなっています。
今回お買取したスチューベンのクリスタルガラスのオブジェは、コーニングガラス美術館によれば、 “Trout & Fly”というタイトルの限定製作された作品で、1966年にJames Houstonによりデザインされたものです。
タイトル通り、Trout(鱒)が勢いよくジャンプする様子が生き生きとクリスタルにより表現されています。 鱒の頭上にある金色の小さなオブジェは、ロイヤルコーチマンというもので、これは、渓流釣りなどのフライフィッシングに使われる ウェットフライです。
買取のスチューベンの“Trout & Fly”は、そのロイヤルコーチマンに、まさに食いつこうとする姿が表現されています。鱒のボディに入った気泡が躍動感を感じさせる、素晴らしい作品をお買取させていただきました。
現在、クリスタルガラスのブランドとして世界的に有名なスチューベンの作品は、公式にはコーニングガラス美術館で販売されるのみとなっており、作品によってはその稀少性が高まっています。
また、スチューベンのクリスタルガラスには熱烈なコレクターも存在するため、いわの美術でも買取を行っています。譲ってもよいというスチューベンのクリスタルガラスがございましたら、是非いわの美術にご連絡ください。