今回、いわの美術がお買取したお品物は畦地梅太郎の木版画「山のなかま」で、「山のなかま」は1956年に発表された作品です。
畦地梅太郎といえば独特の世界感を持つ作風で知られており、特に山岳風景を題材にした作品が多い事から「山の版画家」とも呼ばれています。
もともとは油彩画家を志していましたが、様々な職業を経て内閣印刷局につとめた際、仕事の空時間に職場にある材料を使って鉛版画を製作した事をきっかけに版画家への道を進み、平塚運一、恩地孝四郎、前川千帆らに影響を受け、ほぼ独学で版画の技術を高めていきました。
畦地梅太郎の代表作である山を題材にした作品は1937年に仕事で訪れた軽井沢で浅間山が煙を上げているのを見て山の持つ生命力を感じた事がきっかけで誕生しました。
当初は単にデフォルメした風景画が中心でしたが、山男シリーズと呼ばれる人間と雷鳥が登場する作品を次々と展開していき、畦地梅太郎という独特の雰囲気の作風を確立しました。
本の装幀や緞帳のデザインなど大きな仕事もこなし、日本版画協会名誉会員となりましたが1999年に肺炎のため96歳でこの世を去っており、近年再評価され価値が高まってきている作家の一人です。
さて、今回いわの美術がお買取した畦地梅太郎の作品は養清堂版という表記があり、東京銀座にある現代版画を専門に扱う養清堂画廊で取り扱っていた作品という事が分かります。
このように作品の取扱い元が分かるものは真作という事がはっきりしていますので、評価がプラスとなり買取額が高くなり、中古市場でも人気があります。
全体的に汚れており、若干シミが出ている部分もありましたが、人気の畦地梅太郎の作品という事で状態を踏まえて買取を行いました。
エディションナンバーが140/150となっており、ここから150枚発行されたものという事が分かります。
お問合せの際は作家名、作品名、作品の大きさなどお伝え頂くと査定がスムーズに行えます。
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