今回いわの美術がお買取したお品物は、前田青邨(まえだせいそん)の掛軸「紅白梅」です。
残念ながら肉筆の作品ではなく複製画になりますが、美術的価値のある複製画ですので1点でも十分に評価できるお品物でした。
作品全体にシミ、汚れ、色焼け、シワなどのマイナス要素も見られず、共箱も綺麗な状態でしたので美品という評価で買取を行いました。
ちなみに前田青邨はいくつかの紅白梅を題材にした作品を残しており、今回お買取りした作品以外にも木版画などで複製画がいくつか出版されています。
前田青邨は大和絵の伝統を深く学び、歴史画を軸に肖像画や花鳥画など幅広い作域を見せた日本画家で特に武者絵や鎧絵といった精密な描写は高く評価されています。
院展で活躍をみせ、日本画壇の中心人物として活躍を見せた前田青邨の作品は中古市場でも高値で取引されている事から高価買取が期待できる作家の一人で、代表作の1つ「洞窟の頼朝」が重要文化財に指定されている事を踏まえれば納得できるかと思います。
また、前田青邨はヨーロッパへ外遊経験もありその時に西洋美術に深く感動し、東洋絵画の芸術性を再認識してからの作品は歴史風俗画に力を入れるようになりました。
画家として評価の高い前田青邨ですが、後進の育成にも力を入れており、平山郁夫は前田青邨の意志を継いだ弟子として有名で、平山郁夫自身も前田青邨との出会いがなければ別の人生を送っていたと話しており、このエピソードは前田青邨が与えた影響力の大きさを感じる事ができます。
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