今回、いわの美術がお買取りしたお品物は、兼重暗香作 花鳥図です。
絹本に肉筆で描かれた作品で、落ち着いた色合いに、花弁1枚1枚が繊細かつ清らかで美しく描
かれており、柔らかな筆遣いがうかがえます。
兼重暗香は、洋画では主に肖像画を、日本画は花鳥山水を得意とし、梅花と牡丹の絵は"神技"と
言われたそうです。
≪作家紹介≫
兼重暗香(本名：梅子)
明治5年(1872年)－昭和21年(1946年)
幼少期に病気のため歩行の自由を失ってしまいますが、父：慎一の上京について行き、父親の
影響もあってか、早くから手に職をつけて経済的にも自立した女性を目指して画家の道を志し
ます。画家へのキッカケは、叔父である洋画家：河北道介の影響があったようですが、洋画も
学びつつ、その後は帝室技芸院、女流南画家である野口小蘋女史の門下生となり、日本画へと
転向します。
明治～戦前期に帝展・文展に入賞すること２０回余、女性日本画家中、第一人者の名声を博し、
活躍をしました。
また画家以外でも多芸な人物で、謡曲・琴・三味線・囲碁などにも大変優れていたそうです。
昭和5年(1930年)には日本美術協会に入会し、師であった野口小蘋の没後には同美術協会の幹事
を務め協会の中心として活躍しましたが、太平洋戦争中の昭和19年(1944年)郷里山口に帰り、
昭和21年(1946年)同地で没します。
