こちらの掛軸は中国 清 中期の画家 李鱓による水墨画です。
揚州八怪の一人であり、大変人気の中国画家です。
力強く奔放な筆使いで独特の世界が広がっています。
李鱓 (1686‐1762)
江蘇省揚州市で生まれ育った李鱓は幼い頃から絵が好きでよく描いていました。
父親と祖父は地元では有名な知識人であったようで、李鱓も25歳(1711年)で科挙の郷試に合格し挙人となります。
皇太后に献上した書画が康熙帝に高く評価され、宮廷画家・蔣廷錫(しょうていしゃく)に師事したのち、李鱓自身も宮廷画家として仕えました。
宮廷風の細かい筆使いを達成するも、正統派の画風に束縛されることを良しとせず退官します。
更には高其佩(こうきはい)に師事し、厳密な作風を築き上げました。
そして1738年に山東省滕県の治安判事に任命されます。
政治的潔白さから非常に人気者となり、それが上司の反感を買い解雇されました。
後に郷里の揚州に戻り浮漚館を建てて住み、生計を立てるために絵画を販売しました。
明初の林良に私淑し、後に共に揚州八怪と称される金農(きんのう)、黄慎(こうしん)、鄭燮(ていしょう)の面々と交友を深めます。
石涛を研究し影響を受け、奔放で豪快でありながら風格もある作風に変化していきます。
繊細さと大胆さを併せ持つ李鱓の作品は、清末の花鳥画に大きな影響を与えることとなりました。
揚州八怪
揚州八怪は、後世の批評家が選んだ8人の書画家の呼び名であり、清時代18世紀に揚州で活躍した中から選ばれています。
当時の揚州は塩などの取引で大変栄えており、豪商達が文化復興に努め より良い絵画を競い合って購入した関係で、文人画家が多く集っていました。
先進的で個性あふれる創作は勿論、ときに挫折や苦しみを芸術に昇華した作品も非常に魅力的です。
選ばれたのは8人ですが、批評家によって選ぶ8人が異なる為、実際には15人の名前が挙がっています。
金農(きんのう) 鄭燮(ていしょう) 黄慎(こうしん) 李鱓(りぜん) 李方膺(りほうよう) 汪士慎(おうししん) 高翔(こうしょう) 羅聘(らへい) 高鳳翰(こうほうかん) 陳撰(ちんせん) 華嵒(かがん) 辺寿民(へんじゅみん) 楊法(ようほう) 閔貞(びんてい) 李葂(りべん)
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李鱓が使用した号
復堂 懊道人 墨磨人 木頭老子 裏善 滕薛大夫 中洋 苦李
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