今回、いわの美術がお買取りしたお品物は滝和亭(たきかてい)の掛軸です。
滝和亭は江戸時代に生まれ、幕府につかえた経験を持つ、幕末から明治時代にかけて活躍した日本画家で、主に南画の花鳥、人物画を得意としていました。
墨色問わず、細部まで緻密で写実的な表現は見る者を圧倒的な画力で惹きつける力を持っています。
幼い頃から画に興味を持っていた滝和亭は、大岡雲峰から南画・四条派の写実技法を学び、坂本浩然、田口霞村の両師からは漢詩や書を学び、作品に活かしています。
ウィーン万国博覧会、フィラデルフィア万国博覧会、シカゴ万国博覧会に出品しており、内国勧業博覧会と内国絵画共進会では毎回受賞するなど輝かしい功績を残し、近代における日本美術界を牽引した日本画壇の重鎮としても知られています。
また、仏画で有名な荒井寛方の師でもあります。
お買取りした滝和亭の掛軸は、鶏と竹、牡丹や梅などが描かれた花鳥図で、鶏の毛質の柔らかさがしっかりと伝わってくるほど1枚1枚丁寧に描かれており、さすがは滝和亭といった風格を持った掛軸です。
軸には象牙が使われている事も今回の査定ポイントで、若干、全体的にシミが出ていましたが、貴重な滝和亭の肉筆の掛軸という事で高価買取とさせて頂きました。
共箱があれば買取額はもっと高くなりましたが、今回は共箱なしでの買取となりました。