今回、いわの美術がお買取りしたお品物は西村五雲の掛軸「紅椿」です。
絹に描かれた肉筆の作品で、軸には象牙が使われていました。
肉筆という貴重な掛軸でしたが、乾燥が激しい所に保管してあったのか絵具が剥がれている部分が見受けられました。 こういった所は評価がマイナスとなってしまいます。
しかし、共箱、外箱の二重箱でしたのでそれを含めた評価での買取となりました。
有名な画塾・晨鳥社を主宰し、その後の日本の美術界の貢献に大きく影響した西村五雲の作品は今でも根強い人気を誇っています。
西村五雲は明治時代から昭和時代にかけて活躍した日本画家で、幼い頃から絵を描く事が好きな少年でした。
13歳で岸竹堂に入門し、その後、写実的な日本画で有名な竹内栖鳳に師事しました。
師である竹内栖鳳の画風をしっかりと受け継いでいる西村五雲ですが、幻想的な筆使いと独創的な画風で花鳥画・動物画で一躍有名となりました。
西村五雲が描く動物たちには、かわいらしい部分と動きを感じる部分があり、画面からは生き生きとしている生命力を感じる事ができます。
お買取りした掛軸にもそれは感じ取る事が出来、花鳥画といえば、鳥をメインに草花が描かれる事が多いのですが、今回お買取りした掛軸のタイトルにもあるように主役は紅椿なのですが、小鳥が紅椿を見つめる事で、紅椿が主役となれる西村五雲ならではの表現を垣間見る事ができる素敵な掛軸でした。