今回、いわの美術がお買取したお品物は江崎孝坪の掛軸です。
江崎孝坪は昭和時代に活躍した日本画家で、呉服店で図案を描くかたわら、蔦谷龍岬に大和絵を学び、蔦谷龍岬が亡くなると、歴史画を得意としていた前田青邨に学びました。
そのため江崎孝坪の作風は前田青邨の影響を大きく受けており、伝統的な大和絵を基本に甲冑や鎧兜の細部にまで精密に描写した見事な作品を描き上げています。
その描写力の高さから時代小説の挿絵を手掛けており、吉川英治「太平記」、井上靖「真田軍記」「風林火山」などがあります。
また、人物画、歴史画以外にも花鳥画を得意としていた事はあまり知られていないようです。
江崎孝坪は画家としての仕事以外にも舞台装置や映画の美術考証を行っており、黒沢明監督の「七人の侍」「蜘蛛巣城」を担当していた事は有名な話です。
お買取した江崎孝坪の掛軸は人物が描かれているもので、梅を持つ仕草にも手が汚れないよう懐紙に挟む仕草を取り入れており、その細かさが江崎孝坪ならではというのを感じる事ができます。
全体的にシミが多かったのが残念でしたが、共箱付で絹本の掛軸でしたので高い評価での買取となりました。
これでシミがなければ高価買取となった作品でした。
掛軸は保管場所が悪いとシミが浮き出てしまったり、仕舞ったままにしているとシワが出来てしまう場合がございます。 シミやシワなどはマイナス評価となりますので、保管には十分注意して下さい。