今回買取したお品物は川瀬巴水の木版画「馬込の月」です。
川瀬巴水は、大正から昭和にかけて活躍し、新しい浮世絵版画である新版画を確立した人物として知られます。 川瀬巴水は近代風景版画の第一人者であり、日本各地を旅行し旅先で写生した絵を原画とした版画作品を数多く発表し、生涯に渡り600点ほどの作品を製作したと言われています。
日本的な美しい風景を叙情豊かに表現した川瀬巴水は「旅情詩人」「旅の版画家」「昭和の広重」などと呼ばれ、日本より海外で評価が高い作家ともいわれています。
川瀬巴水は、その「特別展図録」によれば作品に対して「写生し版画に制作し其の場所に時も日も天候も同じに皆様を立たしてお見せしたいと同様になればそれでいいので、筆者の満足この上なしです。」という表現をしています。
明治、大正、昭和と時代の変化の中に身を置いた川瀬巴水は、変化してゆく日本の風景に敏感に感じとった多くの作品を残しています。
今回買取した川瀬巴水の木版画は、「馬込の月」(昭和5年)という作品で、「東京二十景」という20図シリーズのうちの1点です。
描かれた場所は、東京の馬込あたりだと推測されており、作品内の三本松は現在はなくなっているそうですが当時は作品にあるような田園詩趣な松が実在していたといわれています。
今回買取の川瀬巴水「馬込の月」は、数本の老松を思いきり大きく描き、雨の後らしい冴え冴えとした満月を松の枝間に見せた素晴らしい作品でした。
川瀬巴水の作品は日本のならず、海外にもコレクターが存在します。いわの美術では川瀬巴水の作品の買取を強化しておりますので、ご売却をお考えの川瀬巴水の作品がございましたら、年間買取実績豊富ないわの美術までご相談ください。
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