今回、いわの美術がお買取したお品物は、栗原玉葉の掛軸です。
栗原玉葉は、大正時代の女流美人画家として上村松園とともに日本画壇の第一人者として活躍した女性です。
栗原玉葉は、幼い頃から絵を好み、女学校在学中に商工奨励館で開かれた長崎美術展覧会に「桜」を発表して、大久保玉珉らから、その才能を認められ、絵画の道へ進むよう励ましを受けたということがあったそうです。
栗原玉葉が小学生の頃に父を亡くし、また自宅付近の寺の火事により家を消失といったことがあり、東京女子美術学校に入学するも、夜間学校で教壇に立つなどして学費をまかなっていました。
成績は常に優秀、その才能と人格は皆の尊敬の的となり、女子美術学校では端館紫川の指導を受け、同校卒業後は寺崎広業に師事します。
後に、栗原玉葉は母校である女子美術学校の教鞭をとり、後進の指導にも尽力しましたが、37歳の若さで早世するという薄命の女流画家です。
また、栗原玉葉は熱心なキリスト教徒でも知られます。美人画の作品の中にもロザリオを首にかけた姿などが描かれています。
出世作は、大正2年文部省主催展覧会で入選した「さすらい」という作品です。その他栗原玉葉の作品としては、｢お鶴｣、｢身のさち・心のさち」があります。
今回、お買取りした栗原玉葉の掛軸は、美人画で凛とした着物姿の女性の姿をとらえた作品です。美人画は栗原玉葉の得意とする題材とされています。
今回買取の栗原玉葉の作品には「玉葉」と記され、落款もありましたが、シミなどがみられ、軸に破損がありましたので、マイナスの買取評価となってしまいました。
