今回、いわの美術がお買取したお品物は、モラビトのハンドバックで、スカラというタイプのものです。
エルメスのケリーバックと酷似しているため、「エルメスもどき」などと呼ばれる事もありますが、モラビトはエルメスと並ぶフランスの高級バックブランドの老舗です。
エルメスと比べると見えない部分である芯材が上質な革やフエルトを使用していないため、クオリティ面で劣ってしまう部分はありますが、宝飾職人だったジャン・バティスト・モラビトよって宝飾のエレガンスさをいかした上品なバックは、世界的なセレブにも人気があります。
かつてはマリリン・モンローやマリア・カラスなどから特別注文を受けており、これらのバックは「オルセー」「トラヴィアータ」として、現在もモラビトの人気ラインナップとしてモラビトの職人たちの手によって1つずつハンドメイドで生産されています。
モラビトは1905年にフランスのニースで創業し、宝飾職人だったジャン・バティスト・モラビトが宝飾細工の技術と発想を活かし、当時としては画期的な素材であったクロコダイルを使用したバッグや、初めてダイヤモンドを口金にあしらったバッグ、口金に繊細な彫塑を施したり、宝石をちりばめたサテン地のストラップバッグを発表するなど、常に創意工夫をこらしてバック作りを行ってきました。
また、日本の京友禅吉川染匠の職人とのコラボレーションによるバッグ「KÖSHI(=格子)」は京都町屋の格子戸に桜の花が舞いこむ図柄で、京友禅とリザード革の融合が素晴らしいバックです。
このようにジャン・バティスト・モラビトがこの世を去ってからも伝統美と確かな品質は職人たちによって守られ、常に新しい素材とデザインを用いたバック作りを行い、今でも顧客のスペシャルオーダーでは要望に応じたバック作りを行っています。
そんなモラビトのバックを今回、お買取したわけなのですが、リザード革のスカラで、外箱や共布もご一緒だった事、あまり使用感がなくとても綺麗な状態であったため、高価買取で対応させて頂きました。
これが人気のクロコダイルの革であれば買取額はもう少し高くなりますが、長年使用していると光沢が失われてしまいますので、定期的なメンテナンスが必要です。
また、革製品は表面の傷や雨に打たれてシミになってしまったりするとマイナス評価となってしまいますので、日頃のお手入れは欠かさない事が高価買取へと繋がります。