こちらのお写真のお品物は手作り万年筆の昭和の名工として名高い酒井栄助、兜木銀次郎が手掛けた万年筆です。
エボナイト挽物師・酒井栄助が削り出したエボナイト軸と、昭和天皇のデスクペンを作った職人・兜木銀次郎のペン先が使われており、万年筆ファンであれば誰もが反応してしまうお品物です。
今は新しく制作される事はないため、幻の万年筆と言っても過言ではありません。
ほとんどの万年筆のインクは吸入式、カートリッジ式に分かれており、カートリッジ式でもコンバーターを使用して吸入式と同じように使える両用タイプもあります。
今回お買取した万年筆はインク止め式万年筆で、インク止め式は多量のインクを入れられますが、その反面、首を外してスポイトでインクを補充しなければならないという手間があり、上級者向けの万年筆です。
ペン先は14Kが使われており、根元には「4622」の刻印がありました。
これはペン先製造業者のJIS登録番号で、「4622」は兜木製作所の番号なので、今回のように制作者が不明な場合この数字を見ればどこで製作されたペン先なのかが分かります。
ちなみに万年筆のペン先の多くは金が使われており、これはインクに含まれる酸に侵されず適度な弾力性による書き味を楽しめるようになっています。
このように手造り万年筆は細部にまで職人のこだわりが詰め込まれており、手作り万年筆ならではの使い心地の良さや造形の美しさがあります。
お買取した万年筆も保存状態が良く、外箱やインクを入れるスポイトなどの付属品がご一緒だった事もプラスの評価となり、高価買取となりました。
いわの美術では年間に多くの万年筆の買取を行っており、パイロット、セーラー万年筆、プラチナ万年筆などの国内メーカーはもちろん、モンブラン、ペリカン、ウォーターマンなどの海外メーカーの万年筆の買取も行っております。