今回、いわの美術がお買取したお品物は、堤富嶽の蝋鋳(ろうちゅう)文鎮です。
文鎮は書道具の一つで半紙や画仙紙が動かないよう固定するために使用したり、書道以外ではペーパーウェイトしても使用する事ができます。
文鎮には漆塗りで蒔絵や螺鈿が施されたものや、黒檀・紫檀を使用したもの、そして今回お買取りした彫刻の文鎮などその種類は様々で、実用品として集めている方や実際に使う事はないけれど、美術的な価値のある文鎮をコレクションとして集めている方がいらっしゃいます。
また、アンティークの文鎮には翡翠、石、象牙などの素材が使われている事の多いお品物です。
今回、お買取りした蝋鋳文鎮はカタツムリを模った文鎮で、細部までしっかりとカタツムリやアジサイの葉の質感を表現しています。
鋳金の技法のひとつである蝋型鋳金を使って制作されたもので、蜜蝋で原型を作り、その上を粘土で覆い、粘土が乾いたら火をかけて蝋を溶かし、空洞になった部分に銅合金(銅・鉛・亜鉛・錫)を流し込んで原型と同じものを作る事ができます。
そのため、細部にわたって精巧に作る事ができるのです。
この文鎮の作家は、茨城県出身の彫刻家・堤富嶽の作品で、武蔵野美術大学彫刻科卒業し、清水多嘉示に師事して技を磨きました。
サラブレッドで五冠馬と呼ばれたシンザンの等身大像などを手掛けるなど現在も精力的に作家活動を行っております。