今回いわの美術がお買取したお品物は、中国の文人画家・王冕の掛軸で作品名は「南枝春早図」と言います。
王冕は元末を代表する画家として元代末期に画、詩、篆刻で活躍を見せ、特に画において梅の花をモチーフにした作品を好み、満開の梅を華麗に表現する独特の作風は中国のみならず、日本の南画家たちに大きな影響を与えました。
そのため、花鳥画の発展に大きく貢献したとも言われ、この他にも、偶然「花乳石」という石を手に入れた際、柔らかく加工しやすいことに気付いて篆刻に使用したと言われています。
ちなみに「花乳石」とは「青田石」の事だとされており、この事がきっかけで石を用いた篆刻が始まったとも言われています。
王冕は画家として優れた才能を持っていましたが、当初は官僚を目指し科挙の試験を受けています。
しかし合格には至らず、そのまま官僚になる事をあきらめ放浪の旅をしながらの画家生活を始め、道中では絵を売り、それが評判となって画家としての名声を手に入れたと言われています。
そんな王冕の掛軸「南枝春早図」ですが、原本は国立故宮博物院が所有しており、今回お買取りしたものは二玄社より出版された複製画になります。
二玄社は東京都文京区にある書や美術、車に関する図書を出版する会社で、複製美術部門があり、確かな技術に定評があります。
保存状態は美品というレベルではありませんでしたが、共箱・外箱もあり、作品として十分に見る事のできるお品物でしたので高価買取となりました。