今回ご紹介するのは、いわの美術にて先日お買取りいたしました、江朝宗の三行書掛軸です。
江朝宗は清末から中華民国時代に政治家として活躍し、能書家としても知られています。
清末には台湾総督である台湾巡撫の属官として仕えましたが、収賄の疑惑で本国へ送還され、袁世凱の配下に入りました。
袁世凱が一時失脚した期間は離れ陝西省で任にあたりますが、辛亥革命勃発時に北京へ逃亡し、再び袁世凱下へ参謀官に就きます。
それからは袁の腹心として働き、袁世凱死去後一時は代理国務総理を務めましたが、政治家・官僚としての技量に疑問が付され不遇の時期も過ごしました。
盧溝橋事件のあと江朝宗は日本軍の後ろ盾で特別市市長に就任するも、まもなく罷免されその後は政界復帰と下野を繰り返し、汪兆銘政権下で華北政務委員会となります。
没年は1945年とされていますが、1943年説もあり、中華人民共和国への過渡期の中老衰で生涯を閉じたと伝えられています。
江朝宗は政界での履歴で知られますが、中国の伝統的文人の多くがそうであったように書道家としても優れた作品をのこしています。
写真の品物のような漢詩の三行書はその代表で、バランスやリズムの均整がとれた行書となっています。
江朝宗の書は草書体などもありいずれも能く書かれていて、今日の書道家で及ぶものはいないとさえ言われています。
中国の書家による作品は掛軸として軸装されているケースが多く、中国美術人気の高まりとともに中古美術市場でも高値でのお取引が見られます。
掛軸はガラス入り額装などに比べ、書の部分が露出するため汚れやシミなどが生じやすく、保管に注意が必要です。
シミや汚れは査定に響きますが出来の良い品物・貴重な品物の場合は汚損箇所があっても買取り可能な場合がございます。
いわの美術では骨董品・美術品を中心にお買取りを行っております。お手元の中国書の掛軸のご処分をお考えでしたら、ぜひご一報くださいませ。