写真のお品物は、いわの美術でお買取りいたしました端渓硯(たんけいけん)です。
彫りの美しさに加え大きさ重さ十分な逸品で、高評価でのお買取りとなりました。
端渓硯について
端渓硯は中国の南部、広東省肇慶市斧柯山で採れる端渓石を素材とした硯で、古来より最高級の硯とされてきました。
産出する坑道により種類が分けられ、なかでも老坑(水巌)、坑子巌 、麻子坑を最高峰の「端渓三大名坑」と呼んでいます。
それ以外の端渓地域産の石でつくられた硯は「端石硯」と呼ばれ、こちらも梅花坑・宋坑など人気の種類がみられます。
端渓硯が最初につくられたのは唐代で、書道の発展とともに多くの書家に愛され、銘品の中には所有者を転々として複雑な来歴をもつものもあります。
端渓の古硯の価値
伝統的な端渓石の坑道は、地下資源保護を目的とした管理体制のもと多くが2000年代に採掘中止となってしまいました。
2019年現在、新たな坑道から採掘し「新端渓」なるブランドが誕生していますが、石質の点で老坑・坑子巌・麻子坑に比して及第点となるものも多いと言えます。
そのため端渓三大名坑の古硯は古美術市場で高値取引されることが多く、高値買取が可能な品物の一つとなっています。
硯のみかた
硯の良し悪しは石質で決まり、これを見極めるのは熟練の専門家であっても難しいことがあると言われています。
中国の銘硯は天然石製ゆえにさまざまな紋様と色合いをもち、これも石質の判断基準とされ、観賞面で重要となります。
石紋には古来より伝わる愛称があり、青花・氷紋・金線・魚脳凍・翡翠紋・蕉葉白など一見難解に思えても中国の日常用語で見たままを表現した名がつけられています。
中国南部の風土を反映した色の呼称もあり、天青は中国南部の湿潤な気候では珍しい、青い晴天のような色を表します。
端渓硯は基本的に紫が最も多く、青、黒(黒端渓)、緑(緑端渓)、白(白端渓)をはじめとして10数種類に上ります。
先の天青色のほか、濃茶に紅または紫を混ぜたような馬肝色・猪肝色、白みがかり青みを含む灰蒼色など豊富なバリエーションも端渓硯の魅力となっています。
硯箱
硯箱は、一般的な唐木のほか黒檀や紫檀など高級木材が用いられ、経年変化を鑑みて最初は大きめに作られています。
石は大きさが変わることはありませんが、木は乾燥などで収縮がおきるため10~20年での変化を見越して作られます。
さらに年月が経つと木が縮みすぎヒビが生じることもあり、古硯の中には硯箱を補修または作り直されている物もあります。
端渓硯のお買取り強化中です!
今回のお品物は6~7インチ(縦の長さ、16.5㎝相当)の迫力の品物で、貴重な硯石の形にピッタリ沿う唐木の硯箱も誂えられていました。
そのため龍と鳳凰の豪華な彫刻部分に埃の蓄積等もなく、よい状態で保管されていたと言えます。
また墨丘にみられる凹みは傷ではなく天然石由来のものと考え、鋒鋩も良く立ち全体で1300gという比重からも良い石質と判断されています。
一般的な楕円形は使いやすく、観賞面と実用面を兼ね添えた魅力ある逸品のため、高評価でのお買取りとなりました。
いわの美術では端渓硯のお買取りを強化しております。
ご売却をお考えの唐硯、その他中国墨や筆などの書道具がございましたら、ぜひ、いわの美術にお任せくださいませ。