こちらの時計は以前にお買取りさせて頂きました広東時計です。
広東時計というのは中国の清朝時代(1644年-1912年)に広東港から入ってきた西洋製の時計のことで、彫刻や螺鈿細工の施された紫檀の枠が付いています。
清朝時代、中国は下海通蕃の禁(海禁)という政策で外界との交流を規制しており、貿易のほとんどは広東港で行われていました。海外からの輸入品は広東港から陸揚げされ、中国各地の市場に出回ったため、中国向けの西洋製の時計は次第に中国貴族たちに広まっていきます。
この時代の皇帝、乾隆帝は文化人としてよく知られ、ありとあらゆる美術品を蒐集しました。その中には時計も多く含まれ、主に時計の機械部分をイギリスから輸入し、国内で紫檀の枠などの装飾がされました。
中国では自鳴鐘(じめいしょう)と呼ばれ、現在でも人気の高いお品物です。
こちらのお品物は紫檀のケースには透かし彫りなどの優れた装飾が施され、芸術性の高い時計となっています。残念なことに内部の機械部分などに経年による変色が見られましたが、大きなキズや欠けなどはなく高価買取となりました。