今回、いわの美術がお買取りしたお品物は二玄社の中国篆刻叢刊(ちゅうごくてんこくそうかん)です。
中国の芸術家たちの篆刻作品を図録したもので、実用書、観賞用など幅広く使えます。
篆刻は書画や山水画、日本画などに作家の作品である証として押されるもので、篆書体で彫られているのが特徴で、作家それぞれが何種類か持っている事も多く、時代や号によって使い分けがされています。
そのため、中国篆刻叢刊のような図録が刊行される事があり、お買取りした中国篆刻叢刊 は1981年に発行されたもので、篆刻界の重鎮である小林斗盦の編集によるものです。
小林斗盦は日本の書道、篆刻家で、埼玉県のはんこ屋の息子として生まれました。
全日本篆刻連盟会長をつとめ、篆刻家では初めてとなる文化勲章の受賞者としても知られています。
河井筌廬、西川寧に師事し、両師から共通して「幅広い古典、伝統に対する知識の精習の上に自己を成長させ発展させていく」という教えを受けました。
その言葉を胸に、篆刻の三法を基礎として知見教養を積み、印譜と古印、古銅印の蒐集を熱心に行い、多くの摹刻摹写を行いました。
古印学、金石学を研究して得た知識によって「漢委奴国王の金印偽物である」とされた時は小林斗盦の論文で本物であることが論証され、国内だけではなく中国でもその名を知られる事になりました。
今回、お買取りした中国篆刻叢刊は保存状態も良く、別巻である索引資料もついていました。
40巻全て揃った状態でしたので、買取額も少し高くなりました。
小林斗盦は中国篆刻叢刊の他にも中國璽印類編、書道技法講座33 清人篆書三種などを著作しています。